J.フロント グループ内資源と人材を融合 事業の新しい姿を創出

全国の主要都市に大丸、松坂屋、パルコ、ギンザシックスなどの商業施設を展開するJ.フロント リテイリンググループ。2024年度からの新中期経営計画を「変革期」と位置付け、中核事業であるリテールの進化・深化を進める。この3月から新社長としてグループをリードする小野圭一社長に、成長戦略とビジョンを聞く。
聞き手:事業構想大学院大学 学長 田中里沙

小野 圭一(J.フロント リテイリング 代表取締役社長)

外部環境が良いときこそ
健全な危機感を持つ

――2024年度からの新中期経営計画がスタートしたところですが、小野社長の今の問題意識やこれまでの手応えをお聞かせください。

本中計の期間を「変革期」と位置付け、2030年の目指す姿に向けた成長の準備と足元の利益拡大の両立を目指して取り組みを進めています。

足元の状況で言うと、円安もあってインバウンドの勢いが強く、この5月も百貨店各社の免税売上が史上最高を更新しており、当社でも4月の免税売上105億円に対し、5月は135億円まで跳ね上がりました。追い風は有り難いですが、「暴風」のようになっている感もあり、続いてくれると良いと思いつつ、一方で、この追い風を享受しているだけでは風が止んだ途端に危機的な状況にもなり得るという意識も持っています。社内に対しては、健全な危機感を持とう、というメッセージを出しつつ、将来に向けた変革を促している状況です。

――現場で顧客と向き合う環境において、短期・中期における風の読み方や追い風の質を見るのは大事なことながら、デジタル環境も含んで複雑化していると感じます。

コロナ禍で店の営業ができない状況に陥ってから3年。インバウンドが戻ってきて、売上は過去最高。いま、みんなハッピーなんです。ただ、コロナ禍前まで、市場は右肩下がりだったわけで、それを忘れてはいけない。中計で「変革期」としましたが、状況、コンディションが悪い時の方が変革は進みやすい。外部環境による強制力が働きますから、そういうタイミングは変革の好機と理解しています。そして、外部環境が良い時には、変革の必要性を従業員個々人が感じないということにもなりやすいと思っていますので、そこをどう、リーダーシップを発揮しながら変えていくかが、大きなミッションです。

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