数十億ドル規模に拡大、世界中の顧客を引き寄せるゲーミフィケーション業界の功罪
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年8月6日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
あなたがソーシャルメディアをスクロールしていると、あるオンライン・ショッピングサイトのアプリが表示される。リンクをクリックすると、商品が表示される前にルーレット・ホイールが表示され、ボタンを押して回すよう促される。ボタンを押すと購入額の50%割引チケットが当たる。いいと思いませんか?
このような手法がゲーミフィケーションであり、このルーレット・ホイールの事例は、中国に拠点を置き、ほぼ何でも購入できるとうたう、数十億ドル規模のオンライン・マーケットプレイス「Temu」で用いられている。
ゲーミフィケーションとは、ゲーム要素をゲーム以外の分野で利用し、参加を促して顧客との関係を深める手法のことで、急速に広がっている。
企業は顧客を引き付け、売上を増やし、そして従業員が利益を上げるため業務を履行する動機付けのために、ゲーミフィケーションを活用している。
世界のゲーミフィケーション市場は、2024年の236億豪ドル相当から、2029年までに748億豪ドルに成長すると予測されている。これは、ゲーミフィケーションに関連する製品やサービス(ソフトウェア、プラットフォームやアプリケーションなど)から生み出される総収益を指す。
現在、教育から健康やウェルビーイングに至る幅広い業界で、目標設定、ポイントやバッジ、レベルアップの機会、順位表のようなリーダーボードの活用は、一般的に行われている。
例えば、フィットネス・トラッカーの米企業Fitbitは、ユーザーの身体活動をモニタリングし、マイルストーン達成時にバッジを付与したり、友人と競い合える課題を提供したりすることで、体験をゲーミフィケーション化している。
ゲーミフィケーションは販促に効果があるのか?
ビジネスにおいてゲーミフィケーション化が増えているのには理由がある。効果があるからだ。
自社サービス内に組み込める、顧客エンゲージメントを高めるシステムを提供する企業の中には、ゲーミフィケーションを導入することで、ウェブサイトのトラフィックが50%増加し、ソーシャルエンゲージメントが2倍になると宣伝しているところもあるほどだ。
ゲーミフィケーションが顧客のエンゲージメントを高め、その結果、ポジティブな口コミが増え、さらにブランドへのロイヤルティも向上するという主張を裏付ける学術研究も増えている。
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