ガソリンスタンド展開のヤマヒロ 激変する環境下での成長戦略
戦後間もない頃、油小売から始まったヤマヒロは、今や出光グループのトップディーラーとして、都内近郊で35店舗のガソリンスタンドを運営する。山口寛士氏が社長に就任した2013年以降は、多角的に事業を展開しながら、抜本的な経営改革を強力に推し進めている。
顧客接点を継続させるため
セルフ式でも接客を重視
「エネルギー政策の転換や自動運転化社会の到来など、モビリティは変革の時代を迎えています。そんな時代ですから、『ガソリンスタンドを経営している』と話すと、『大変そうですね』と心配されることもしばしばですが、私はそんな業界全体のイメージを覆したいと思っています。ヤマヒロは、車検整備やコーティング洗車、鈑金修理、レンタカー事業、米・Jeep(ジープ)のディーラーなどの幅広い事業を展開しており、未来を悲観していません」とヤマヒロ3代目社長の山口寛士氏は力を込める。
ピーク時の1990年代には6万店舗が存在したガソリンスタンドは、石油価格の低下や後継者不足、若者の車離れなどを背景に3万店舗まで半減している。そんな逆風にさらされながら、ヤマヒロが先代の時代に30店舗を越えるまで拡大することができたのはなぜなのか。その理由は「人材育成による高付加価値化にある」と山口氏は断言する。
「ガソリンスタンドの経営を成り立たせる方法は、徹底的にローコストに走るか、人材教育に注力して高付加価値化を目指すかのどちらかしかありません。先代である父が選んだのは後者でした。個々の能力を伸ばし活かすことで、石油元売り企業から次々と新設案件の運営を委託されるようになりました」。また、1998年の解禁にあわせて、セルフ式ガソリンスタンドをいち早く展開したことも成長を後押しした。セルフ式ではスタッフを減らすガソリンスタンドも多い中、ヤマヒロは顧客との接点を形成するため社員とアルバイトスタッフを配置し、サービス力の向上に取り組んだのだ。
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