“内”を動かし、“外”を魅了する 表現者の視点で挑む企業というステージ

ビジネスとアートの境界を越え、挑戦を続ける

株式会社デイズヌーヴェル代表取締役の有坂隆一氏は、国際的なパフォーマンスアーティストとしての顔を持ちながら、企業のブランディングと採用支援を一気通貫で手がけるクリエイティブカンパニーを率いている。「外に向けた発信だけでなく、企業の内側から変革を起こす」という独自のアプローチで大手企業からの信頼を獲得し、次世代のブランディングソリューションを追求する有坂氏に、ビジネスとアートの境界を超えた挑戦について聞いた。

ビジネスとアートの融合から創出する

一気通貫で挑むブランディング

株式会社デイズヌーヴェルは、コーポレート及びリクルーティングにおけるブランディングと広告デザインを中核に据え、「斬新さ」を武器に独自の存在感を放つクリエイティブ企業である。創業者であり代表取締役を務める有坂隆一氏は、創業以前に採用支援企業で営業職として成果を上げてきた。しかし、単なる「コマ売り」にとどまらず、「一つの企業を俯瞰的かつ包括的に捉え、全体の企画を担う方が本質的に面白い」という想いから、現在の自社一貫体制によるブランディング支援事業へと舵を切るに至った。

また、有坂氏は“表現者”としての一面も併せ持ち、言葉を用いない身体表現による前衛ムーブメント集団として、国内だけでなく、フランスでは国際ダンスビエンナーレで自ら率いるカンパニーで数々の作品を上演、他にもドイツや東欧、韓国、シンガポールなどでも高い評価を受けている。そうしたバックグラウンドを持つ有坂氏に、仕事と事業に対する信念を聞いた。

株式会社デイズヌーヴェルの主な事業は、大きく分けて二軸ある。一つはコーポレートおよびリクルーティングを対象とする『ブランディングソリューション』、もう一つが展示会やイベントを中心とした『ディスプレイソリューション』である。自身の表現者としての一面も持つ中で、「ビジネスライクな側面だけに依存するのではなく、ビジネスとクリエイティブの両輪でのアプローチができないかと考え、これまで取り組んできた。」

「逆」の視点を意識する

アウターとインナーをつなぐ統合型ブランディング

パフォーマンスアートの経験に裏打ちされた有坂氏の着眼点の一つが、常に“逆”の視点を意識することだ。例えば、アウター向けの広報やPRを行う際には、必ず企業の内側(インナー)にも深く切り込むソリューションを重視する。採用PRは「外に向けたメッセージ発信」と捉えがちだが、真に価値ある採用には内側の改革と視座の転換が不可欠だという。有坂氏が実際に深く関与した企業では、インナーから変える取り組みとして、リクルーター業務に専念できる体制を1年間限定で整備。通常業務から一時的に切り離し、採用業務に全力投球できる「専属部隊」を組成するという大胆な施策が採用された。さらに、立場を超えた社内での定期的な質問会を実施するなど、単なる教育にとどまらない風通しの良い企業文化の創出にも寄与したという。 このように内外の両面から本質的に向き合うことで、企業の魅力は“伝える”だけでなく“共鳴”へと昇華する。結果として、新入社員が高い熱量を持って入社するようになり、企業の内部からも変化が生まれていった。

有坂氏が事業の中心に据えている理念は、「クライアント企業の“ために”、我々が最大限何を提供できるかを追求する」という一点にある。クリエイティブ制作においては、「些細なことだが、クオリティは担保するも撮影現場で時間内に撮れるものはすべて撮る」といったこだわりを持ち、真摯に向き合う。この姿勢は、ただ“尽くす”という受動的なものではない。むしろ、自社のクリエイティブ力を最大限に発揮することでクライアントの価値を引き出し、それが同時に自社の成長にもつながるという、能動的で前向きな営みである。「企業のために何かを成し遂げたとき、確実に良質な成果が返ってきます。だからこそ、私たちのような規模の会社にも大手企業様から依頼されるのです。」と語る有坂氏の表情は、充実感に満ちていた。

「壁をつくり、超える」ことで生まれる新たな領域

将来的な構想や新規事業について話が及ぶと、有坂氏は「自ら『壁』を設け、それを乗り越えることが成長の鍵である」と強調する。「いかに自分で壁をつくるかが重要。壁を設けることで、それを超える動機が生まれる。その先に、新しい成長が待っているのです。」

大手企業との取引では、実績や信頼性が常に問われる。その中で、既存の枠にとどまらず、「壁を越える姿勢」で新たな挑戦に取り組むことこそが、信頼を勝ち取る要因となる。現在、同社ではWeb・映像・パンフレット・イベントなど、コーポレートと採用の両面にわたるブランディングソリューションを軸に展開している。それに加え、展示会ブースの設計・装飾までを一気通貫で行える体制を整えている。また、環境負荷とコスト削減に配慮した「サステナブルなブース制作」や「デジタルサイネージ」分野も積極的に手掛けている。少数精鋭ながら、表現者としての感性と、顧客への誠実な向き合い方が、新領域への挑戦を可能にしている。

「斬新さ」を通じて、ビジネスの未来を再定義する

株式会社デイズヌーヴェルは、クライアントの課題に真正面から向き合い、プランニング、クリエイティブ、そしてイベントプロデュースまでをワンストップで提供する自社一貫体制のブランディングカンパニーだ。その根底にあるのは、企業の本質に深く寄り添う姿勢と、既成概念を打ち破る「斬新さ」。その独自のアプローチは、企業の変革と成長を着実に後押ししている。

また、今後のブランディングにはAIの活用が不可欠であるとの見解から、有坂氏はAIを単なる効率化ツ

ールではなく、“創造のパートナー”と捉えている。「人の感性とAIの分析力の融合が、これからの“斬新さ”を生む」と語り、「データに基づいた精緻なインサイトと、表現者としての直感を両立させた提案を追求。感性とテクノロジーの相乗効果によって、より本質的で共感性の高いブランディングを実現していきます。」



有坂 隆一

株式会社 デイズヌーヴェル 代表取締役

早大卒。大手就職情報会社に入社後、採用コンサルティングに従事すると同時に、デザイナー、イベントプランナーとしても活躍。前衛舞台演出家として国内外のフェスティバル等で数々の作品を発表。第5回TOKYO JOUANAL大賞受賞(Performing Arts部門) 。2001年デイズヌーヴェル設立。