食の安全・おいしさを世界に届ける ぶどうの森の挑戦と協働の力

(※本記事は「協働日本」に2025年6月26日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

折坂啓介氏・加藤高聖氏

協働日本で生まれた協働事例を紹介する記事コラム「STORY」。

実際に協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺っていきます。

今回は、石川県金沢市でレストランや洋菓子ブランドを手がける株式会社ぶどうの森の折坂啓介氏・加藤高聖氏にお越しいただきました。

「農業からレストランまで」を理念に、40年以上にわたり地域と共に歩んできたぶどうの森。今回の協働プロジェクトでは、海外進出のために必要な国際規格FSSC22000の取得という挑戦的なテーマに取り組んでいます。

プロジェクトを通じて得られた変化や成果、そしてこれからの展望について、お二人に語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明・山根好子)

折坂 啓介氏
折坂 啓介氏

海外に、ぶどうの森の味と安全を届けたい

—— 本日はよろしくお願いいたします。まずは、今回の協働プロジェクトに取り組むに至った背景を教えてください。

折坂 啓介 氏(以下、折坂): よろしくお願いいたします。

ぶどうの森は、もともと地域の農産物を活かしたレストラン経営やスイーツ製造を軸に事業を展開してきました。

昨年ドバイの展示会に出展した際に、現地で一緒にビジネスをやろうと言ってくれる人と出会い、海外展開を決意しました。

とはいえ、営業拠点だけでなく現地に加工工場も設ける必要があるなど、乗り越えるべきハードルはいくつもありました。当時の私たちは、食品安全に関する国際基準についての知見や体制が整っておらず、できる限り早い段階で「FSSC22000」の取得を目指すことにしたのです。

ただし、品質管理だけでなくマネジメントや文書化の仕組みも問われるこの認証を、限られた人手とリソースで取得していくのは容易ではありません。他社の話を聞いても、コンサルティング費用だけで非常に高額で、短くても1年半かかるというのが一般的でした。

—— なるほど。かなり挑戦的なテーマだったのですね。

加藤 高聖氏(以下、加藤): はい。どうやって取り組もうかと考えていたのですが、石川県主催の複業人材活用セミナーを通じて協働日本代表の村松さんのお話を伺ったことを思い出し、相談してみることにしました。すると、ちょうど協働プロの中にハウス食品で国際規格FSSC22000の認証取得を担当した方がいらっしゃるということで紹介いただき、伴走支援がスタートしました。

実は最初は、「伴走支援」という座組みの中で、どのようにプロジェクトが進んでいくのか少し不安に思ったこともあったんです。

折坂:宿題を出されて、フィードバックという名のダメ出しだけ受けるような進み方だと、メンバーにとっては辛さだけが残り、ノウハウも身につかないのではないか……そんな懸念もありましたね。

でも、実際に始めてみるとそれは杞憂でした。協働日本の協働プロは、知識や経験をもとに問いを立てたり、アドバイスや資料作成のヒントをくれたりしながら、私たちに寄り添って伴走してくれたのです。

ぶどうの森のメンバーも、実際に手を動かしてともに取り組みます。

「お金を払っても何も残らないのでは?」という社内の懸念もありましたが、ノウハウが確実に残る、協働日本独自の伴走支援の形は、私たちにとって非常に合っていたと感じています。

出展したドバイの展示会の様子
出展したドバイの展示会の様子

経験者の知見とリアルな視点 × AI活用で、認証取得準備を最短で実行

—— 実際にプロジェクトがスタートしてからは、どのような取り組みが進んだのかお聞かせいただけますか?

加藤: FSSC取得に向け、2024年5月にプロジェクトをキックオフしました。

ハウス食品の山本竜太さん、横町暢洋さん、そして協働サポーターの河野瑠美さんに入っていただきました。

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