東京湾アクアラインにみる 首都圏をつなぐインフラの未来と課題

開通から約30年が経過し、東京湾アクアラインは首都圏の人流・物流に不可欠な道路となった。建設を担当した東京湾横断道路㈱は、現在は維持管理などを担う。2026年度に控えた圏央道(大栄J~松尾横芝)や東関道(潮来~鉾田)の開通により、首都圏の道路網の中で新たな役割を果たすことが期待されている。

木更津人工島にある海ほたるPAは、ドライバーの休憩スペースであるとともに、東京湾に浮かぶ観光スポットとして親しまれている

東京湾の中央部の地下と海上を走り、神奈川県川崎市と千葉県木更津市をつなぐ全長15.1キロメートルの東京湾アクアライン。1997年12月の開通から間もなく30年を迎えようとしており、首都圏の人流や物流を支える欠かせないインフラとなった。東京湾横断道路㈱は、1986年10月の設立からアクアラインの開通まではその建設を担当し、完成後は維持管理と海ほたるパーキングエリア(PA)の運営を行う企業へと移行した。設立時の経緯から現在は東日本高速道路㈱(NEXCO東日本)を筆頭に周辺自治体や企業など300者余りが株主となっている。

海ほたるPAにはシールドマシンの先端部(カッター)がモニュメントとして展示されている。右はPAと木更津市をつなぐアクアブリッジ

一日5万台が走るアクアライン
建設後の維持管理を担う

東京湾アクアラインは計画当時、『土木のアポロ計画』とも呼ばれ、国内の産官学が集結した一大プロジェクトであった。総力を結集する母体として設立されたのが東京湾横断道路㈱だ。総工費1兆4400億円、着工から完成までに約8年をかけた大型土木プロジェクトで、川崎側の入り口である浮島換気所と9.6キロメートルの海底シールドトンネル、人工島「風の塔」「海ほたるPA」に4.4キロメートルのアクアブリッジが造られた。トンネルの掘削で使われたシールドマシンは直径約14メートルで、当時としては世界最大であった。

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