創業哲学を継承し、「誇りある美」を世界へ   コーセーのブランド戦略

コーセーのハイプレステージブランド「コスメデコルテ」は1997年に海外進出し、日本を含む15の国と地域で展開。同社は2026年までに、コスメデコルテを海外市場における「真のラグジュアリーブランドに飛躍させる」ことを目指す。これまでのブランド戦略と今後の展望を、執行役員の牧島伸彦氏に聞いた。

牧島 伸彦(株式会社コーセー 執行役員 セレクティブブランド事業部 部長)

創業者の哲学から生まれた
コーセーの最高級ブランド

「コスメデコルテ」は、コーセーの持つ先端技術の粋を集めて1970年にデビューしたハイプレステージブランドだ。名称は「cosmétique(化粧)」と「décoration(勲章)」を融合した造語で、「真実の高級品をつくる」という哲学を掲げた創業者の小林孝三郎氏が生みの親である。創業者の意志を脈々と引継ぎ、クラフトマンシップと真のエレガンス(気品)を継承する象徴的なブランドとして、世界15の国と地域でグローバルブランドとして名を馳せている。

「大卒初任給がおよそ4万円、化粧品が日用消費財として扱われていた時代に、11万6000円の純金製コンパクトを売り出すなんて、普通ならできません。それが可能だったのは、オーナー企業の強みと申しましょうか、創業者の経営哲学や情熱があり、その想いが企業風土としても根付いていたからだと思います。また、販売戦略として、限られたお店様とお取引を行い、各店舗に化粧品専門コーナーを設け、コスメデコルテを販売する従業員を『コンパニオン』と称し、教育を徹底しました。その結果、買う側のお客さまのみならず、売る側もブランドとしての“誇り”を持てるようになったことが、ハイプレステージブランドとして認知される重要なポイントだったと考えています」と、同社執行役員 セレクティブブランド事業部の牧島伸彦事業部長は語る。

1970年、コスメデコルテのデビュー時に発売された純金製コンパクト「プレスドパウダー」

2022年12月期決算は、中国のロックダウンによる影響や原価率の上昇を吸収して、なおも増益という好調ぶり。その牽引役を果たしたコスメデコルテは、国内販売額ではシャネル・ディオールと肩を並べて突出した存在となり、他社ブランドを寄せ付けない。

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