世界のラグジュアリー市場の現状と、コロナ禍における変容

従来のラグジュアリーブランドが則ってきた権威主義的で排他的なラグジュアリー戦略とは異なる、ローカル文化に基づいた「新しいラグジュアリー」が今、世界各地で生まれつつある。新たなラグジュアリーの概念とはどのようなものであり、日本にとって、それはどのようなチャンスだと言えるのだろうか。

香港のルイ・ヴィトンの店内 Photo by andersphoto/Adobe Stock

コングロマリットが市場を制する
ラグジュアリー業界

ラグジュアリー業界と言えば、ルイ・ヴィトンを代表する75のメゾンで構成されているLVMHグループや、グッチを中心にしたヨーロッパのファッション・宝飾品ブランドを多く抱えるケリンググループ、カルティエを擁するリシュモングループなど、グローバル化が進んだブランドコングロマリットを思い浮かべる人が多いだろう。実際、世界のラグジュアリー企業トップ10のランキング(図表1)では、これらのような誰もが知る企業名がずらりと並んでいる。

図表1 世界のラグジュアリー企業トップ10社(2020年度の売上高別)

出典:デロイトトーマツ「世界のラグジュアリー企業ランキング2021」

 

また、このランキングでは10位に1社だけ中国企業が入っているが、地域別に見ると、各国のトップ100社のシェア(図表2)では、圧倒的に欧米が多いことがわかる。この調査では各企業が本社を置く国ごとに分類しているため、ラグジュアリー商品の売上高の多くを占める国とは必ずしも一致していないが、それでもアジアなど欧米以外の地域からは、ラグジュアリーブランドが生まれにくい傾向があることがわかる。つまり、これまではラグジュアリーブランド業界とは、主に欧米の産業だったと言える。

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