ラグジュアリートラベルの世界標準を知り、真の「おもてなし」を

日本に「ラグジュアリートラベル」の概念さえなかった1990年代に創業し、日本に初めて「アマンリゾート」を紹介したマゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト。世界の富裕層の信頼を得て事業を率いてきた同社代表の朽木浩志氏に、世界のラグジュアリートラベル市場の現在と、日本における可能性を聞いた。

朽木 浩志(マゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト株式会社 代表取締役社長)

活況を呈する世界市場の一方、
周回遅れで取り残された日本

マゼラン・リゾーツ・アンド・トラストの設立は1998年で、すでに25年の実績を誇る。今でこそラグジュアリートラベルを名乗るサービスは他にも生まれているが、創業当時、日本にはその萌芽さえなかった。当時、世界的なラグジュアリーホテルの代名詞となっていた「アマンリゾート」を日本に初めて紹介するなど、いち早く富裕層に特化したサービスを提供してきた同社のサービスのうち、インバウンド向けのB to Bは95%を占める。海外の旅行エージェントに日本のラグジュアリートラベルのプランを提案することが事業の主軸だ。

「創業当時は、苦労の連続でした。個人客の温泉旅行や国内旅行航空券の手配などで、日銭を稼ぐ仕事をこなしながら、インバウンドへの先行投資を進めました。やがて、2009年ごろから実を結び始め、軌道に乗ってきました」と代表の朽木浩志氏は振り返る。

東日本大震災やコロナ禍など、折々に大きな困難に見舞われたが、「ジタバタしないという戦略で乗り切ってきた」という。

朽木氏によれば、いま世界中で高級ホテルの価格の高騰が続き、1泊30〜40万円もするような新たなホテルも次々にできているという。世界的に富裕層の人口が増えるにつれ、ラグジュアリートラベル市場は拡大傾向にある。

「ところが、日本はこうした動きに全く着いていけていません。そこへ円安が追い打ちをかけ、世界との差は開く一方です。当社以外にも、国内でラグジュアリートラベルを名乗るサービスがないわけではありません。しかし、事業化できている人はほとんどいないでしょう」

その理由は、「ホテル・旅行業界に本物のラグジュアリーを知る人材が少ないため」と見る。

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