発酵技術企業対決! キッコーマン VS. 宝ホールディングス
「和食」に続いて「伝統的酒造り」が世界無形文化遺産に登録され、醤油や味醂、焼酎や清酒など日本の食文化への注目度はますます高まる。世紀を超えて発酵・醸造技術の伝統を支えてきた名門2社の現在を見る。
創業100年、国際的な影響力をさらに拡大する2つの名門
2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界の日本食ブームに拍車がかかった。2024年には日本の「伝統的酒造り」も登録され、清酒や味醂、焼酎など日本の酒文化にも改めて注目が集まる。発酵、醸造など日本の食の根幹を成す技術を支えてきた二つの名門、キッコーマンと宝ホールディングスは今、国内外に向けてどのような戦略を立てるのか。
キッコーマンの歴史は古く、その始まりは、現在の千葉県野田市で高梨兵左衛門が醤油醸造を開始した1661年にまで遡るという。その後、地元醸造家7軒が「野田醤油仲間」を結成するなど、野田は醤油や味噌の一大産地となっていく。下って1917年、野田醤油と万上味醂がそれぞれ株式会社を設立、1925年には両社が合併し、1940年には商標が「キッコーマン」に統一された。そして1957年、サンフランシスコでの「キッコーマンインターナショナル」設立を皮切りに世界展開を本格化し、キッコーマンは日本の醤油を広く世界に知らしめる上でも大きな役割を果たしてきた。
2017年に創業100周年を迎えた同社は、現在、食料品製造・販売や卸売の他バイオ事業も手がけ、飲料・調味料製造の日本デルモンテなど国内22社、海外35社のグループ会社を持つグローバル企業に成長、2023年度売上収益6608億円の77%、5090億円を食料品卸売などの海外事業が占める。同社醤油の海外販売量は、1974年度を100とすると2023年度は2946に達し、年平均成長率は7.1%で推移する。中期経営計画では、2024年度の国内事業の売上年平均成長率2%、海外卸売事業は7%の目標を掲げ、世界市場でのプレゼンス向上を目指す。また、国内では、2022年に健康な食生活を提案する飲食サービスを開始、2004年の紀文との提携以来好調な豆乳分野でもMCT(中鎖脂肪酸)を加えた新商品を展開するなど、食と健康分野での新たな価値創造を進めている。
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