宇宙から届ける ソニーグループ「STAR SPHERE」プロジェクト
ソニーが主体となり、人工衛星に搭載したカメラを一般の人が遠隔操作し撮影する宇宙体験事業「STAR SPHERE」が、グッドデザイン・ベスト100を受賞。2年間の取り組みと宇宙エンタテインメント事業の可能性について、プロジェクトの推進室長とデザイナーから話を聞いた。
文・矢島進二(日本デザイン振興会 常務理事)
中西吉洋 ソニーグループ株式会社 事業探索部門(元 宇宙エンタテインメント推進室 室長)(左)。 清水直人 同クリエイティブセンター 統括課長(右)
人類が地球の美しい姿を目にしたのは、わずか60年前にアポロ8号が撮影した宇宙の暗闇の中に浮かぶマーブル模様の写真である。このビジュアルのインパクトは大きく、後の環境運動の契機になったとも言われている。その後、宇宙開発は進み、今ではロケット打ち上げのニュースは日常化しつつあるが、実際の宇宙体験というと、まだ宇宙飛行士や富裕層のみに開かれた特別な領域に留まっているのが常識だ。
そうした中、ソニーの自由な発想を育む土壌からその常識を覆す試みは生まれた。ソニーグループ 宇宙エンタテインメント推進室の室長を務めていた中西吉洋氏は、「当社には『机の下活動』と呼ぶ業務後にワイワイガヤガヤやりたいことを語る活動があり、「STAR SPHERE」プロジェクトはそこから生まれました」と振り返る。
2017年の宇宙をテーマにした議論に集まった有志の中に、東京大学やJAXAの関係者も含まれていた。この出会いが、後にソニーが事業主体として東京大学と衛星を開発し、JAXAがアドバイザーを務める三者協力体制へと発展した。
その三者によって、2023年1月にSpaceX社のファルコン9で打ち上げられた超小型人工衛星「EYE」を使い、スマートフォンやPCからWebアプリケーション「EYEコネクト」を通じて、宇宙や地球の写真を撮影できるサービスを実現した。「おそらく世界初と言えるはずです」と中西氏は自信を示す。

衛星に市販品をカスタマイズしたソニー製フルサイズカメラを搭載、高度約500㎞から地球を撮影する
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