たなか銘産 伝統の技法と創造性で津軽塗を次代につなぐ

350年続く津軽塗の技法を受け継ぐ、たなか銘産4代目の田中寿紀氏は、デザインの自由度の高い津軽塗を現代のライフスタイルに合わせて商品化することこそが伝統を守ることにつながると考え、「さわるツガルヌリ」「透ける津軽塗」といった漆塗りの固定概念を覆す商品を次々に世に送り出している。

田中 寿紀(たなか銘産 代表取締役)

重ね塗りの技法と
デザインの豊かさが特徴

津軽塗は約350年の歴史を持つ伝統漆器だ。津軽藩第四代藩主・津軽信政が地場産業を育成すべく若狭藩から若狭塗の職人を呼び寄せて当地に根付かせたのが始まりとする説が有力だという。最大の特徴は幾重にも塗り重ねた漆の凹凸をやすりで平滑に研ぎ出すことで複雑で美しい漆模様を表す「研ぎ出し変わり塗り」という技法。多くの漆器産地では漆を塗った上に模様を付ける手法を用いているのに対し、津軽塗は何層にも塗り重ねるがゆえの奥行きが感じられる。

たなか銘産4代目社長の田中寿紀氏は「江戸後期から明治前期にかけて塗られ、津軽家が所蔵していた『津軽漆塗手板』を見ると、その色の鮮やかさや意匠の豊かさに驚かされる」と語る。津軽塗ならではのデザインの自由度の高さと伝統技法を応用することで、漆の持つ日本美を生かししつつ、新たな塗・色・デザインを作り出すことができるという。

伝統的な技法による津軽塗の漆器

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