職人と消費者をつなぎ、和服の伝統を現代のラグジュアリーに転換

エルメスでデザイナーとして活躍していた寺西俊輔氏が、大島紬など日本の伝統的な反物を用いて、オーダーメイドで洋服を作成するプロジェクト「ARLNATA」を創設して、約4年。2022年12月に、新プロジェクト「MIZEN」の旗艦店を南青山に開業する寺西氏に、事業発展の経緯と今後の構想を聞いた。

寺西 俊輔(STUDIO ALATA合同会社 代表社員、株式会社MIZEN 代表取締役)

欧州の数々のブランドで働き、
帰国後「ARLNATA」を設立

建築学を専攻しながら、授業よりもファッションサークルの活動に熱を上げていた大学生。それが、若き日の寺西俊輔氏の姿だ。

新卒でYOHJI YAMAMOTOに入社し、生産管理・パタンナーとしての経験を積んで、イタリアへ。ヘッドハントされて世界的ハイブランドを渡り歩き、2015年にはエルメスに入社――と、絵に描いたようなサクセス・ストーリーを歩んできた寺西氏だったが、2018年末に突然日本に帰国。STUDIO ALATAを起業し、プロジェクト「ARLNATA(アルルナータ)」を立ち上げて、周囲を驚かせた。

ARLNATAは、日本語の「新た」と「あなた」とを掛け合わせた造語。現代のライフスタイルに合わせたものづくりを通じ、伝統技術の新たな価値を発信する輪を、関わるひとり一人とともに広げていきたいという、寺西氏の意思の表れだ。

「ARLNATAは社名でもブランド名でもなく、プロジェクトとしての名称です。30代半ばになって将来の働き方を思い描く中で、”自分だけにしかできないこと”、”日本のためにできること”をやりたいと思うようになりました。というのも、ファッション業界の野心家たちが集まる欧州の街で、なぜ自分にヘッドハントの声がかかるのかを考えた時、日本人パタンナーとしてのキャリアが高く評価されていることに気づいたからです」

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り75%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。