精密林業計測 森林資源を先端計測技術で解析して林業経営を支援

精密林業計測は、人工衛星、航空機、ドローンなどを活用し、森林内の樹木を一本ずつに至るまで樹種、立木位置、太さ、体積、樹形を半自動で精密に計測する信州大学発のベンチャーだ。森林資源の詳細な分析により、収益の見える化、境界線の判定、病害の把握につなげ、持続的な林業経営に貢献している。

精密林業計測代表取締役社長の加藤正人氏

鳥のように空から
森林を俯瞰できたら

鳥のように空から森の様子を俯瞰できたらどれだけ楽だろう――精密林業計測の技術は同社代表を務める加藤正人氏の35年来の思いが結実してできあがったものだ。加藤氏の祖父と父は森林管理署で働き、森林計測の苦労を目の当たりにしていた。森林計測は、対象とする山林にどんな太さのどんな樹種がどれほどあるのかを見極め、今伐採すればおおよそどれだけの収益になるかを見積る。その計測手法といえばもっぱら人海戦術に頼らざるを得なかった。

「足場の悪い急斜面を登って現地に踏み入れなければなりません。木が密生しているため、見上げても木の頂点は見えないので、おおよその高さを見積もります。当然、山林全体の木を1本ずつ測定することはできないので、一定のブロックでサンプリング調査をし、それに面積を掛け合わせ全体の状況を把握せざるをえないのが実態です」

その苦労を目の当たりにしていたからこそ、現地に足を踏み入れずとも「鳥のように上から見る」という発想が湧いた。信州大学農学部で森林計測を専攻していた加藤氏はその思いを形にすべく、衛星画像や航空写真などを使って正確かつ効率的に測り、解析をする手法を編み出した。そこにレーザ計測技術が台頭する。

「それまでは平面的な画像しか扱えなかったのですが、レーザ計測により高さも伴った3次元の画像を得ることができるようになりました。ただレーザ計測技術については全くの門外漢だったため、海外の国際学会に参加するなど3年間武者修行して技術を習得しました」と、より精密な計測を体得するための執念を語る。

15年ほど前からはドローンの登場でより撮影の自由度が利くようになり、そこにレーザ計測技術と独自に開発した解析技術を加えることで、密生した森林でも一本一本の樹種や苗木の様子までを把握し、解析できるようになったという。

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