阿智昼神観光局 日本一の星空という地域の資源でブランド化
観光局という名前を持つが、阿智昼神観光局は8年前に設立された一般企業だ。長野県は南信州の阿智村で、ツアーの企画運営や情報発信など様々な観光事業を手掛ける。なかでも日本一と称される星空をテーマにしたナイトツアーは他にない体験型コンテンツとして人気を集めている。
わずかでも見たい人はいる
星空に観光経済を託す決意
「阿智村には昼神温泉郷という温泉地があり、地域の観光資源としては絶対にはずせない地域経済の柱になっています。この温泉郷を世の中にもっと認知してもらうために設立された企業が当社の前身です」と話すのが、阿智昼神観光局の代表取締役、白澤裕次氏だ。その企業は基本的に昼神温泉郷を中心にした観光振興を手がけていたが、阿智昼神観光局が設立され、白澤氏が代表となった時に方向転換をした。
「昼神温泉郷は出湯50年という若い温泉地。コレ、というポテンシャルはなく、右肩上がりで成長できたのは高度成長期やバブル期があったからでした。その外的要因がなくなったことで、お客様が減っていくという事態が生まれたんです」
日本には魅力的な温泉地が豊富にある。東京や大阪といった大都市から4時間かかる昼神温泉郷が、今後も温泉だけで人を呼び込めるのかは疑問だったことから「旅本来の、その地域に行って何を見て何をするのか、その視点で考えなければならない」と、会社立ち上げ前に議論を重ねた。
そこで着目したのが「星空」だった。阿智村には、2006年に、環境省の全国星空継続観測で「星が最も輝いて見える場所」の第1位に選ばれたほどの星空があるのだ。
「アンケート調査では、昼神温泉郷は知らないし、スキー場もゴルフ場も阿智村以外にいい所がたくさんある、という回答が多数ありました。しかし星空に関するアンケート調査では、少数ですが、阿智村にそんな星空があるのなら見てみたいという方たちがいたんです」
わずかでも見たいという人がいるのならと、星空に阿智村の観光経済を託すこととなった。
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