リブル IoTスマート養殖技術で牡蠣を養殖し、水産業を改革
日本にとって重要な産業の1つである水産業は、漁獲量の減少や従事者の不足など多くの課題を抱えている。徳島県の水産ベンチャー「リブル」は水産業改革に取り組み、牡蠣不毛の地で養殖を成功させ、自社生産する人工種苗や、培った養殖技術やノウハウを提供し、水産業を盛り上げようとしている。

岩本 健輔(株式会社リブル 代表取締役 CTO)
「牡蠣不毛の地」の徳島最南部で
牡蠣の養殖に成功
「世界一おもしろい水産業へ」をコンセプトに掲げるリブルは、徳島県の最南部に位置する海部郡海陽町を拠点に新たな挑戦を続けている。その1つは、太平洋に面し、漁業が盛んなこの土地でも根付かなかった牡蠣養殖を実現して、水産業を前進させることだ。
同社創業者であり、代表取締役(CTO)の岩本健輔氏は、牡蠣養殖の難しさについて次のように話す。
「ここの海はサンゴが群生するほど綺麗な海なので牡蠣の餌となるプランクトンが少なく、水温が高いため酸素も少なく、牡蠣不毛の地と言われてきました。数十年前から幾度となく牡蠣養殖への取り組みはされてきましたが、うまくいった例はありません」
岩本氏は大学院で理学博士を取得後、沖縄県水産試験場で水産技師、民間の水産研究所で生物試験や研究開発を担当するなど、水産業に従事してきた。前職では牡蠣の種苗生産にも関わり、漁業関係者に種苗を提供する仕事を行っていたが、自分自身で養殖をしたことがない点にジレンマを感じていたという。
「業務の延長として自分でやってみようと、海陽町で牡蠣の試験養殖を始めたんです。ただ、地元の漁業関係者からは、ここでは絶対に無理だと言われ、日本で一般的な筏垂下養殖では実際に成功しませんでした。その頃に偶然出会った資材輸入関係者から、日本よりも厳しい環境のオーストラリアではシングルシード方式というやり方で産業化に成功していると聞き、それをベースに海陽町に合うように調整していったところ、養殖に成功しました」
牡蠣をカゴに入れて1個ずつバラバラに育てる「シングルシード式」を採用。この地域は漁業に習熟した漁民を「あまべ」と呼んでいたことから「あまべ牡蠣」と名付けた
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