セツロテック 独自のゲノム編集技術を低コストでツール提供

ゲノム編集技術は、遺伝子情報を自在に書き換えることができる技術を指す。2020年には同技術を発明した研究者がノーベル化学賞を受賞したことで注目度が増したが、まだ商品として世に出たものは少ない。それに対してセツロテックは自社で所有するオリジナルの技術により課題解決を目指している。

竹澤 慎一郎(株式会社セツロテック 代表取締役社長)

3人の出会いからはじまった
徳島大学発スタートアップ

セツロテックは2017年に創業した徳島大学発スタートアップだ。同大学で培ったゲノム編集技術とノウハウを活用し、「生物の潜在的な力を借りて、あなたと地球の課題を解決する産業を創造する」をミッションに掲げ、事業展開を行っている。

創業のきっかけは、3人のキーパーソンが出会ったことだった。現在、同社代表取締役CEOを務める竹澤慎一郎氏と、徳島大学でゲノム編集技術の研究を行う沢津橋俊氏と竹本龍也氏だ。竹澤氏は東京大学大学院農学生命科学研究科で博士号を取得後、民間企業を経て、バイオ研究者向けメディア会社やサイエンスメディアの会社を設立。10期目を迎えた2016年からバイオテクノロジー関連に投資する事業をやろうと、その対象を探していたという。

「その頃に東京大学研究室時代の後輩であり、徳島大学特任講師(2016年当時)の沢津橋俊から『面白い技術がある』と連絡をもらいました。それが同大学助教(2016年当時)の竹本が開発したGEEP法(受精卵エレクトロポレーション法)で、2015年に特許を出願したものでした」

GEEP法はゲノム編集ツールを低コストかつ低ダメージで受精卵に導入する方法だ。これにより遺伝子改変マウスの作製が簡便になり、安価に提供できるなどのメリットが生まれる。

「2人に会って話を聞いて私が興味をもったのは、マウスだけでなくブタでも実証の準備ができていたことです。それができれば家畜の品種改良の事業展開ができ、世界規模では数百兆円の大きな市場になるので人類への貢献度も高くなります。また、日本中の研究者から竹本のもとに共同研究の問い合わせが殺到していたので、個別に対応していると時間がかかるから、まずはゲノム編集マウス作製の受託事業を始めることから事業構想を練りました」

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