福祉複合施設TOTONOU 目指すは多様な人々が集う場

2023年3月、愛知県長久手市に日本初の福祉複合施設TOTONOUがオープンした。運営はNPO法人全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)。2007年の法人設立前から訪問美容を行い、福祉理美容で28年の活動実績を持つ。事務局長の岩岡ひとみ氏に、ふくりびの活動や新施設に込めた思いを聞いた。

特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会(NPOふくりび)事務局長の岩岡ひとみ氏

外見を整える支援に
長い経験を持つNPO

ソファやテーブル席がゆったりと配されたカフェ、ガラス窓を通して降り注ぐ穏やかな日差し、吹き抜けの2階へと続く壁一面には本棚――思わず入ってみたくなるおしゃれな建物が福祉複合施設TOTONOUだ。1階には、栄養やおいしさはもちろん、飲み込みやすさに配慮した嚥下食のスイーツを提供する嚥下食カフェ「Kam Yom」が入る。ここは最大で6000冊もの本を収容できる本棚コミュニティでもある。2階にあるのが、病気治療の副作用などによる毛髪、肌や爪などの外見(アピアランス)の変化に悩む人をサポートするアピアランスサポートセンターだ。

日本初の福祉複合施設TOTONOU

アピアランスサポートは、ふくりびが長い経験と実績を持つ福祉支援サービスだ。28年前、ふくりびの代表である赤木勝幸氏は、美容サロン経営のかたわら地域のために何かやりたいと訪問理美容を始めた。まだ介護保険制度がなく、企業によるCSRや地域貢献といった言葉もあまり使われていなかった時代に「地域の介護施設や病院とお付き合いをしていく中で高齢者や患者さんへの外見支援の必要性を重視し活動を続けてきました」と話すのが岩岡氏だ。

岩岡氏はNPO設立の3年前に赤木氏の活動に参画。以来、赤木氏と共にアピアランスサポートという支援サービス領域をけん引してきた。始まりは高齢者施設での訪問理美容サービスだったが、次第に在宅高齢者や障がいがある子どものニーズも増加。法人化後は企業や大学等との連携も進み、特別支援学校での身だしなみ講座や、高齢者施設で大学生がお年寄りの装いをプロデュースして一緒に写真を撮るイベントなどを開催するようになった。

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