理想を描き、構想からつくる 「満たされた状態」実現の新ビジネス
世界でウェルビーイングに関心が集まる今、新しいビジネスチャンスを考える上でもこの分野の知識やトレンドが重要になっている。事業構想大学院大学において、医療・ヘルスケア、健康産業分野の経営、新規事業開発を研究する谷野教授がウェルビーイングの観点からビジネスを考える。
ウェルビーイングの定義
すべてが満たされた状態を目指す
ウェルビーイング(well-being)は、1956年世界保健機関(WHO)憲章で、“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.(健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。)”(公益社団法人 日本WHO協会HPより)と言及したことが始まりである。
一方、スピリチュアルヘルス(霊的健康)という言葉もある。命を脅かす疾病に罹患し余命が宣告された際や、災害にあって多くの方の死を見届ける状況など、ヒトの生死についての意味を考えたりすることで、スピリチュアルヘルスを病むことが健康に大きな影響を与えるとされる。そこで1999年の第52回世界保険総会(WHO総会)で上記の3つの健康に加えて「霊的(spiritual)」「動的(dynamic)」が新しい健康の定義として加えることの審議を行ったが採択は見送られた。
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