バリューベースを紐解く「3つの観点」 海外事例と日本の環境

2025年度より「電子カルテ情報共有サービス」の標準化開始が予定されるなど、医療を取り巻く環境は変化の中にある。バリューベース・ヘルスケアへの注目もその変化の1つだが、認識に差があるのが現状だ。そこでAMDD医療技術政策研究所所長の田村誠氏にその本質や今後の展開について聞いた。

田村 誠(一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD)医療技術政策研究所 所長、一般社団法人医療システムプランニング 代表理事、国際医療福祉大学大学院 特任教授)

多様な定義のなかで
「3つの観点」を示唆

先進的な医療技術の導入やイノベーションの評価、医療費の適切な配分の実現等を目指し、中長期的な視点で研究および政策提案を行う一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会(AMDD)医療技術政策研究所所長の田村誠氏は、「バリューベース・ヘルスケア」の概念について「治療効果(アウトカム)だけを見るのではなく、アウトカムとコストの両方を同時に見ること。また、医学や臨床に限定するのではなく患者の満足度や生活の質なども考慮すること」と説明する。

現在も多様な解釈や定義があるなかで、田村氏は3つの観点から整理を行う。それは「技術レベル」、「システムレベル」、そして「個人の価値観を考慮すること」だ。

「技術レベルは、医療技術や機器、薬などの価値を評価し、それに基づいて保険の償還額を決めるなど医療技術に反映させることを指します。システムレベルについては、医療システムにおける医療提供体制と医療保険をどのようにデザインするかが重要で、バリューが向上するようなインセンティブがそれらのポリシーに含まれているかどうか、を指標とします。個人の価値観とは、もともとパターン化されていた医療から、エビデンスに基づく医療が重視されるようになり、患者の価値観に基づいて診療方針を選ぶ傾向になりました。やや逆説的ですが、エビデンスが増えるほど個人の価値観を考慮したバリューベース・ヘルスケアにすべきという議論があります」

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