男女の健康格差解消へ 「女性の健康」分野がフロンティアに
医療研究において「性差」の視点が重視されるようになり、女性特有の健康課題に注目が集まる。男女間の健康格差の解消が進めば、社会的・経済的な恩恵は大きい。女性の健康課題や性差に着目した研究トレンドを背景に、2024年、日本でも初の専門機関が開設され、新たな挑戦が始まった。
医学研究の世界では長らく、新しい治療の対象として想定される「ヒト」は男性だった。新薬の臨床試験の被験者になるのは男性が中心であり、そこから得られるデータは男性に対する安全性・有効性ということになる。男女間には体格や身体の構造・機能の違いがあり、新薬や治療法の研究・開発においてそれが考慮されないと、社会実装の段階で期待した効果が得られなかったり、トラブルを引き起こす可能性がある。そこでここ10年ほど、世界的に性差を考慮した研究・技術開発の実施が求められるようになっている。
ヘルスケアR&Dで求められる
「性差」の観点
米食品医薬品局(FDA)は1977年、新薬の臨床試験に妊娠可能性のある女性が参加することを禁止した。1950年代末から60年代にかけてサリドマイド薬害事件が起こり、新薬候補となる化合物の中にも、胎児の先天異常を起こす可能性があるものが含まれることを危惧したためだ。しかし1993年には方針を転換し、臨床試験の初期から女性を参加させることを製薬業界に求めるようになった。米国立衛生研究所(NIH)は1993年から、臨床研究に女性を参加させることを義務付け、2014年からは動物モデルや細胞株ベースの前臨床研究の段階から性別のバランスを取ることを求めている。
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