日本ケアフィット共育機構 ビジネスケアラーの離職を防ぐ

人手不足が常態化する日本企業において注目されるのが、介護をしながら仕事をする「ビジネスケアラー」の離職防止。特に、社員の「隠れ介護」への対処は重要だ。4月に施行された改正育児・介護休業法で支援策が拡充される中、制度と社内風土の両面からのアプローチが求められる。

佐藤 雄一郎(公益財団法人日本ケアフィット共育機構
経営企画室室長)

介護による離職者は毎年10万人
経済損失の試算は9兆超

日本ケアフィット共育機構は、1999年11月に前身である特定非営利法人日本ケアフィットサービス協会を立ち上げて以降、共生社会の実現を掲げ、とくに人材育成に注力してきた。活動の中心となるのは、高齢や障害を理由に自由な外出がままならない人を安全に介助するプロフェッショナルである「サービス介助士」の認定だ。交通、金融、流通など高齢者や障害者の暮らしに欠かすことのできないサービスを提供する業界の企業約1000社が人材育成の一環で社員に取得させるケースが多い。これまでに約23万人を認定している。この他、防災介助士、認知症介助士の認定も行っている。

サービス介助士は、接客の一環としての正しい介助技術を身に着けている。資格者数は2025年3月の時点で23万人を超えた

経済産業省の将来推計によると、仕事をしながら介護を担うビジネスケアラーは2025年に307万人となり、2015年時点の1.3倍に増え、2030年には318万人に達するとしている。また、仕事と介護の両立が難しくやむを得ず離職してしまう介護離職者は毎年約10万人にのぼり、仕事と介護の両立困難による経済損失は2030年に約9.1兆円となると試算されている。「2025年には団塊の世代の全員が後期高齢者(75歳以上)になります。その子どもの世代が企業のリーダー層である50代前後に差し掛かる時期であり、ビジネスケアラーの離職を防ぐこと、そして介護と仕事を両立させることは日本経済の先行きにとっても重要。企業も生産性に大きな影響を与える問題として認識し、対策を講じるべき」と同機構経営企画室室長の佐藤雄一郎氏は指摘する。

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