「デザイン経営」の現在地 行政と地域社会における「デザイン」
デザインを企業の経営資源として活用する動きはここ数年で活発化したが、その流れは行政の政策立案や地域活性化などにも導入されるケースが増えている。その最新事例と新たなアプローチについて、本稿では7つの地域の取り組みを紹介する。
近畿経済産業局が3月に公表したレポート「地域の産業を起こし、耕し、かきまぜるデザイン経営」では、自治体や金融機関を対象に、中小企業に対する支援策を調査した結果、91%が「創業・起業支援」と最多となり、「自治体・支援機関によるデザイン経営支援は、地域活性化に繋がる新たな手法」と提言している。以下では、各地行政のデザイン施策に関し近況をまとめておく。
佐賀県の政策
「さがデザイン」
佐賀県は2015年以降、県政における施策推進の手段として「デザイン」を積極的に導入している。デザインを単に視覚的要素としてではなく、地域社会や行政課題の本質を可視化し、最適な解決策を導く構造的アプローチとして位置付けている。
県庁内に「さがデザイン」という組織体を設置し、4名の職員を擁して、地域にゆかりのある専門家やデザイナーと連携。政策立案やまちづくりの初期段階からデザイン的視点を反映させる体制を構築している。
今年開始した「SAGA DESIGN AWARD」は、「デザインが持つ力」を県民に広く伝え、さらに県のクリエイティブ自給率向上が目的で、対象を商品や建築ではなく「プロジェクト」と規定しているのが独自だ。
初年度は12件が受賞し、大賞には株式会社224による「地球の環境を守り持続可能な生活を生み出す器『うづら』」が選出。従来比で強度1.5倍、焼成時のCO2排出量40%削減、不良率1%以下と、生産プロセス全体をデザインした画期的なプロジェクトだ。

SAGA DESIGN AWARDの大賞「うづら」は、美しいフォルムだけでなく、循環社会への想いと産地を次代へつなぐ強い意思が高く評価された。デザイナーは安積伸氏
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り72%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。