金融でより良い社会に挑戦 ユニークなフィンテック企業 20選

世界各地で、デジタルの力を活用した新しい金融関連の事業が立ち上がっている。地域独自の課題に着目したビジネスや、人類社会共通の問題に立ち向かうために設立した企業など、多様なスタンスが存在している。新規事業を考える際に参考になりそうな先行事例を集めた。

シンガポールHashstacs社(STACS)

金融業界向けのブロックチェーン開発会社であり、技術ソリューションプロバイダー。創業は2019年。ブロックチェーン技術を活用して、金融機関が厳しい規制基準に完全に準拠しながら、デジタル資産の発行、取引、清算、決済を実行することを支援する。資産運用会社イーストスプリング・インベストメンツとBNPパリバと共同で、ブロックチェーンによる貿易ライフサイクル管理ソリューションを開発した。

現在、注力しているのはESG投資の基盤整備。同社のESGレジストリ「ESGpedia」は、シンガポール金融管理局(MAS)のグリーンフィンテック推進の取組、プロジェクトグリーンプリントと提携している。このレジストリは、包括的で将来を見据えたESG認証と、検証済みのさまざまなソースや業界セクターからのデータを収集している。ESG資金調達や投資判断、利害関係者のESGデータのレビューを促進することで、社会の持続可能性に貢献する投資を集める。

 

米Aspiration社

地球環境を破壊せず、人間社会を持続可能にする活動に貢献したいと考える人のための金融機関として2013年に設立された。伝統的な銀行ではなく、類似サービスを提供する「チャレンジャーバンク」。個人の経済活動がいかに地球環境に影響しているかを測定するため、数千社の企業、7万5000以上のデータポイントから Aspiration Impact Measurement(AIM)という指標を作った。同社のデビッドカードを買い物に使うと、購買データから自分のAIMスコアが算出される。それを見て、消費者は購買行動を変化させたり、支出の決定を通じた地球環境への貢献が可能になる。普通の銀行のユーザーは、預金の使い道に意見を出すことができないが、Aspirationでは化石燃料プロジェクトには預金を投資しないとしている。また同社が立ち上げたアスピレーション・レッドウッド・ファンドは、アルコール、タバコ、武器・軍事産業、石油・ガス産業などには投資しない方針を示している。

人権や地球環境に配慮した企業活動を行っている企業の製品購入に対するキャッシュバックや、銀行取引の小数点以下を切り上げると木が1本植林されるサービス、クレジットカード決済ごとに植樹でき、カーボンオフセットができるサービスも行っている。

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