万博、その先にある地域経済の発展に向けて 関西のありたき姿実現への道筋
「売り手よし・買い手よし・世間よし」の理念を起点に、関西経済を牽引してきた関西経済連合会。2020年12月には、12年ぶりに中長期計画「関西ビジョン2030」を発表した。「先駆ける関西、ファーストペンギンの心意気」というスローガンに込めた思い、大阪・関西万博を経た2030年における関西の理想像を訊いた。

松本 正義(公益社団法人関西経済連合会 会長
[住友電気工業株式会社 取締役会長])
「三方よし」を柱に
公益資本主義へ転換
関西経済連合会(以下、関経連)は、1946年10月に発足した経済団体である。関西国際空港や関西文化学術研究都市といったプロジェクトの推進、国際交流、産業基盤の強化、地方の自立発展に資する政策提言などを通じて、関西の経済発展に大きく貢献してきた。しかし、関西2府4県の地域総生産シェアは70年の19.4%をピークに低下し、人口動態でも首都圏への転出超過が続くなど、かつての勢いに陰りが見える。
こうした事実を受け止め、コロナ禍や急速なデジタル化を契機としたパラダイムシフトに対応し、SDGsの目標年度でもある2030年に向けて関西を発展軌道にのせていくための中長期的な方向性を定めたのが、「関西ビジョン2030」である。
2017年5月から関経連の会長を務める松本正義氏(住友電気工業取締役会長)は、「米国の主要企業が名を連ねる経済団体『ビジネス・ラウンドテーブル』が2019年8月に行き過ぎた新自由主義を見直す声明を発表したことも、背景にあります。実際に米国に赴き関係者と意見交換した結果、企業経営の原則とされていた株主資本主義からの転換を宣言しました。自社の利益の最大化だけでなく、マルチステークホルダーに貢献する取り組みをすべきという姿勢は、関西の『三方よし』の考え方に通じるところがあるなと思いました」と、経緯を振り返る。
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