いつか誰かが使うアーカイブをつくるため、失敗も成功も全て書き残す
今年1月、自身三作目となる『DTOPIA』で第172回芥川賞を受賞した安堂ホセ。「最も過剰かつテーマがてんこ盛り」という選評に対し、テーマを絞り小説の完成度を上げるのでなく、「完成度は1回無視して、書きたいように書いてみるというのが今回の挑戦だった」と語った。『小説』という定型を壊すべく、常に新たな形に挑み、文学界を疾走し続ける、その真意とは。
文・油井なおみ
安堂 ホセ(小説家)
芥川賞の受賞が
過去2作品への評価も変える
安堂ホセはプロフィールを公表しない。小説家になる前のことでわかるのは映画製作の経験があることくらいか。
「小説は読んではいましたが、小説家になるとは思っていなかったです」
そもそも、「何かになりたいとか、これを職業にしようと思ったことがなかった」と語る。
「作家になってからも、自分がどうなりたいという意気込みはなかったけど、小説を完成させることや本にして人に読んでもらおうということはすごく頑張ったと思います。そこの欲は普通の作家さんより強い気がしますね」
小説を書き始めたのは、3、4年ほど前のこと。初めて書いた作品(未発表)が文藝賞の最終候補に残り、2022年、デビュー作となった『ジャクソンひとり』から3作連続で芥川賞候補に選出。今年、3度目の候補となった『DTOPIA』で芥川賞を受賞している。
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