暴力、中傷、孤独と向き合った日々を経て、女子プロレスのトップへ

80年代の女子プロレス・ブームで活躍したダンプ松本を中心に、伝説の選手らの青春を鮮やかに描いたNetflixシリーズ『極悪女王』。昨年秋に配信されるや、観た人の心を震わせ、大ヒットとなった。当時のブームを牽引したひとりであり、女子プロレスの新たな時代を創生した立役者であるブル中野。激しい時代をトップとして生き抜いたタフな生き様とその裏にある素顔に迫る。

文・油井なおみ

 

ブル 中野(元プロレスラー 解説者)

内気な少女がプロレスラーに
必死にもがくも辛く絶望の毎日

内向的な手芸部の少女が、眩いまでに華麗かつ苛烈な女子プロレス界のトップに立つと、誰が想像しただろう。

「小さい頃から体は大きかったのですが、運動は苦手でおまけに怖がり。テレビのプロレス中継も見られなかったくらい。でも母がアントニオ猪木さんのファンだったので、小学5年生のときに初めて見ました。外国人の大きな選手と戦って、猪木さんは大流血。負けちゃうなと思いながら恐々見ていると大逆転して。衝撃を受けました」

圧倒的劣勢下でも諦めず、勝利を掴む姿に、小学生ながら「自分は今まで生きていなかった。何かしなくては」と掻き立てられた。だが、その思いをどこに向ければいいかわからない。

「人に誇れるものなんてないし、ましてやプロレラーになるなんて全く考えていなくて。ただプロレスを見漁りました。それで母が『そんなに好きなら』と勝手にオーディションに申し込んじゃったんです。応募資格は15歳以上で、私はまだ中1なのに」

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り87%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。