時事テーマから斬る自治体経営 「地域活性化人材」の注意点
地域活性化人材には、地域活性化伝道師や地域力創造アドバイザーなど、様々な制度がある。これらにより多くの優秀な人材が生み出されている一方で、中には地方創生マネーを狙う「補助金ハンター」もいるという。地域活性化人材を採用する際、自治体はどのような点に気を付けるべきなのだろうか。
石破茂首相が推進する「地方創生2.0」に関する交付金事業は、1539自治体で約2185億円分を採択した(2185億円を1788団体で割ると、1団体あたり約1.2億円となる)。2025年度予算は地方創生交付金を2000億円を計上し、前年度と比較して倍増となっている。国は地方創生の実現に向けて、多額の予算を用意している。
地方創生は地方自治体だけでは成功の軌道に乗らない。その理由はノウハウがなかったり、行政資源(人・物・金など)に限界があったりするためである。特に町村等の小規模自治体ほど当てはまる。そこで、自治体は外部の主体と連携する道を探っている。自治体と連携する外部主体の多くは真摯に取り組んでいるが、一部には「地方創生マネー」を虎視眈々と狙う輩も存在している。今回は、地方創生を進める自治体外の主体に注目する。
地域活性化人材の闇
地域活性化を進める人材制度として、地域活性化伝道師や地域力創造アドバイザー、地域プロジェクトマネージャー、地域再生マネージャーなどがある(表)。これらの人材制度を本稿では「地域活性化人材」と称する。
表 地域活性化に向けた人材制度の概要(例示)

出典:ホームページをもとに筆者作成
自治体が表に記している地域活性化人材を採用すると、多くの場合は国等から補助金が出る。自治体としての持ち出しは限定される。例えば、地域力創造アドバイザーは、1人あたり年560万円の報酬や旅費が国の特別交付税で手当てされている。560万円以下であれば自治体の支出はない。そのため、多くの自治体が地域力創造アドバイザーに地域活性化を依頼している。2025年7月1日現在で659名の地域力創造アドバイザーがいる。
この地域活性化人材の中には、地方創生マネーの獲得に主眼が置かれている輩がいる。もちろん少数である(少数だと信じたい)。このような地域活性化人材にあたらないように、自治体は注意しなくてはいけないだろう。
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