自然の流れを大切に トレンドよりも信じた味を表現することで勝機を掴む

『ガチ中華』のパイオニアであり、その仕掛け人とも称される梁宝璋。現在、彼が手掛ける14店舗は、チェーンではなく、それぞれが異なるコンセプトを持っている。日本で店を構えて28年。新しいビジネスモデルで外食産業を席巻する気鋭の経営者の素顔は、常連客に愛される人懐っこい笑顔が印象的な、実直な人物だった。

文・油井なおみ

 

梁宝璋(「味坊集団」オーナー)

ガード下の小さな店から
食通が注目する人気店へ

日本人の好みに合わせた「町中華」とは異なり、本場中国の味をそのまま提供する「ガチ中華」。この人気を牽引しているのが梁宝璋だ。

1995年、梁は32歳で妻と6歳の娘とともに、日本へやってきた。母親が残留孤児で、1994年に父とふたりで先に帰国。その後に続いた形だ。

当時の梁は、「日本に行けばいい暮らしができると思っていた」という。

「小さな頃から絵を描くのが好きで、中国では美術専門学校を卒業し、油絵画家や絵を教える仕事をしていました。日本でもそうできたらよかったのですが、現実は違った。その頃は日本語があまり喋れなくて、工場や建築関係の日雇いとか、いろいろな仕事を掛け持ちで、2年間続けました。それでも安定する仕事が見つからなくて」

「自分でやるしかない」と覚悟を決めた梁は、1997年に夫婦でラーメン屋「味坊」をスタートさせた。

「味坊」は中国で同じ美術専門学校に通い、今、日本で有名な画家になったという友人が命名。看板は創業時に梁が手作りしたもの

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