NOUEN 「もうける農業」を目指し、総合化事業を創造

IT企業を経営していた田中正広氏が、故郷の農業の衰退を憂いて、2013年に朝来市で立ち上げたNOUEN。日本三大ねぎの一つである岩津ねぎの栽培に取り組みながら、ビジネスの視点からバリューチェーンを再構築し、6次産業化でも成果を出してきた。「もうける農業」を目指す田中氏の戦略に迫った。

文・青山忠靖(事業構想大学院大学 特任教授)

 

田中 正広(株式会社NOUEN 代表取締役社長)

もうかる農業より
「もうける農業」を目指して

NOUENの田中正広代表は、兵庫県朝来市の出身。2000年に岡山市でIT企業を立ち上げ、十数年間着実に実績を重ねてきた。ただ、帰省の度に耕作放棄地が増え、目に見えて衰退が進む故郷の実態を憂いて、2013年にNOUENを設立した。そのミッションは「もうかる農業からもうける農業へ」とある。

「簡単に言ってしまえば、もうかる農業とは高い収益性が見込める農産物を大量に栽培し収穫することです。でも、現実はそんなに単純なものではありません。収益性が高い農作物には高度な品質基準が求められるからです。基準に充たない作物は出荷もできずに破棄されます。つまり、大量に栽培してもロス率が上がり、結果としてもうからない農業になってしまうのです」

それに対して田中氏が唱える「もうける農業」とは、作物を生産してJA等に出荷するといった従来のサプライチェーンとは異なり、農産物の生産及び加工、さらには販売までを一体的に行う総合化事業を指している。

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