バンドー化学 医療、電子資材分野での新事業開発に注力

1921年に日本初のコンベヤベルトを開発するなど、日本の産業用ベルトのパイオニアとして知られるバンドー化学。自動車のエンジン部品などを中心に売上を伸ばしてきたが、エンジンにベルトを使用しないEV化が進む中で、医療・ヘルスケア、電子資材の分野などでの新規事業開発を目指している。

植野 富夫(バンドー化学株式会社 代表取締役社長)

創業時の木綿製ベルトから
ゴムベルトへ移行

表立って目立つことは少ないが、多様な分野で活用されている産業用ベルト。1906年の創業以来、自動車のエンジン部品や工場の生産設備、農業機械、プリンターで使用されるベルト、運搬用のコンベヤベルトなどを開発・製造し、グローバル展開しているのが、日本の産業用ベルトのパイオニアとして知られるバンドー化学だ。

主力製品の補機駆動用ベルト

売上900億円超、従業員数4000名超(ともに連結/2021年度)、海外14カ国に19拠点を展開する同社は、1906年の創業以来、神戸に本社を置いてきた。同社の起源である木綿調帯(ベルト)を発明したのは技術者の阪東直三郎氏で、阪東氏が開発した木綿調帯を世に広める役割を担ったのが、実業家の榎並充造氏だ。同社の成り立ちについて、社長の植野富夫氏はこう説明する。

「当時は、機械技術を用いた近代産業に移り変わり始めた時期でした。しかし、当時の伝動ベルトは高価な牛革製が主流。そこで阪東が安価な木綿製のベルトを発明したのです。水と湿度に弱い牛革より耐久性が強く、価格も半分程度になるこの技術に注目し、会社設立に手を貸したのが榎並と、他2人の出資者でした。社長には、当時27歳の榎並が就きました」

榎並氏が木綿調帯の営業に奔走していた1909年、阪東氏が不慮の事故で亡くなってしまう。開発者の死によって工場を止めざるを得なくなり、榎並氏は100人ほどいた従業員のほとんどを解雇することになった。その頃、イギリスの大手ゴムメーカー、ダンロップが神戸に進出。窮地に陥った榎並氏は、ゴムベルトの開発に舵を切る。これが功を奏し、1913年、「サンベルト」と名付けたゴムベルトの販売を開始すると、業績が上向き始めた。そして1921年には日本初のコンベヤベルトをリリースし、経営を軌道に乗せたのである。

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