ブックオフグループHD 楽しさでリユースの可能性を広げる

「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」をミッションに、事業を通してリユースの概念を社会に広く浸透させてきたブックオフグループホールディングス。国内のリユースにとどまらず、リサイクル、海外リユース店の展開へと事業を広げることで、サーキュラーエコノミーの構築に向けた事業の領域を広げている。

堀内 康隆(ブックオフグループホールディングス 代表取締役社長)

古書店から事業展開
エンタメ性を打ち出す店づくり

1990年に本の買取・販売店「ブックオフ」1号店を神奈川県相模原市にオープンしたのが同社の事業の始まりだ。2009年には、大型店「ブックオフスーパーバザー」を開店し、買取・販売商品を服や家電、楽器など本以外の商品に広げていった。リユースの顧客層を広げるべく、高所得者層をターゲットに百貨店内でブランド品などを買取・販売する店舗「ハグオール」を2013年に立ち上げたほか、2016年にはマレーシアでリユース店舗を開店するなど海外事業も強化している。

だが、新規事業の投資負担が重く、2016年3月期には上場以来初の赤字に転落する。翌2017年4月に社長に就任した堀内康隆氏が掲げたのが「個店を磨く」ことだ。「ブックオフはチェーンストアですが、各店で個性を出し、地域のお客様に喜んでもらうためにどのような店づくりができるのかをスタッフに考えてもらいました」。

その結果、トレーディングカードのプレイスペースを作ったり、プラモデルを組み立てるイベントを行ったり、と各店で独自性のある企画が実現した。これらの取り組みを後押しするように、「推し活」など自分の好きなことを追求するサブカルチャー消費が台頭する。コンテンツの楽しみ方が多様化し、ブックオフもその流れに乗った。現在の同社の店舗は、以前よりもリユースの楽しみを前面に打ち出すようになっている。例えばある個店の提案で始まった、店頭に並ぶ古着をアップサイクルする企画は、現在、アップサイクルコンテスト『Reclothes Cup(リクロースカップ)2023』として全国的なイベントに育っている。

定番の書籍やCD、DVD、ゲームに加え、ホビー・トレカ商材の存在感が増している。デュエルスペース(トレーディングカードゲームを遊べる場所)を設けた店舗も増えている

「アルバイトも含めた店員が、自分自身がワクワクするようなアイデアを1つの棚から形にしていってくれています。楽しくリユースできる店をつくりたいという思いが、ユーザーとリユースの接点を増やし、それを着実に積み重ねることで、大きなサーキュラーエコノミーを形成できれば」と堀内氏は期待を語る。

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