時代の要請を予測し人材を育成 深化するデザイン教育

デザイン思考の普及とともにビジネスにおけるデザインやデザイン人材の役割は重要性を増している。大学におけるクリエイティビティを育むデザイン教育は時代のニーズに応じて多様に進化している。米国における取組として、スタンフォード大学、イリノイ工科大学の事例を紹介する。

時代状況とともに進化する
デザイン教育

デザイン思考はスタンフォード大学やシリコンバレーで工学とデザインを学び実践する人々から生まれたイノベーションを創出するための効果的な方法論(見崎・Ge、2019年)とされ、ビジネスにクリエイティビティをもたらす手法として重要視されている。大学におけるデザイン教育は時代状況に応じて進化し続けているが、本稿では米国の大学におけるデザイン教育の事例を2つ紹介する。

図 リーダーシップ涵養とビジネススキル獲得の方法の比較

スタンフォード大のME310、イリノイ工科大のIPROを比較した。社会の需要に応える形で、デザイン教育も多様になっている

 

半世紀越の歴史、グローバル化した
スタンフォード大学のME310

ME310は、1967年にスタンフォード大学工学大学院機械工学科の修士学生向けの問題解決型(PBL)の科目として設立された。当時、工学系の教育プログラムにデザイン教育を取り入れたことや企業と連携したPBLを行ったことは斬新だった。企業の課題を解決するというプロジェクト形式の実践的な授業で、3セメスター(約9ヶ月間)にわたって行われる。

50年以上続く教育プログラムであるが、それぞれの時代の産業界のニーズを反映したプロジェクトを行ってきた。当初は工学、特に機械工学に関連したプロダクトに関するテーマが多かったが、1990年代に入るとソフトウェアの重要性が増し、プロジェクトのテーマも情報システムに関するものが増えていく。当然、機械工学以外の知識が必要となり、プロジェクトは学際的になっていく。

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