リブラン 24時間楽器が演奏できる共同住宅から広がるビジネス

リブランは1968年、東京都板橋区で、不動産事業を手掛ける企業としてスタートした。現在はデベロッパーとして様々な事業を展開。24時間自室で楽器演奏ができる防音マンション「ミュージション」の開発や運営で知られる。演奏家や配信者の困りごとの解決から新ビジネスをつくった同社の取組を紹介する。

渡邊 裕介(リブラン 代表取締役社長)

入居希望リスト6000組
高付加価値の人気マンション

首都圏で「MUSISION(ミュージション)」という賃貸マンションが増えている。各部屋が高い防音性能を持ち、24時間楽器の演奏が可能という物件だ。リブラン代表取締役社長の渡邊裕介氏は「分譲・賃貸マンションにおけるルールは、基本的に『音は出さない』です。共同住宅のクレームやトラブルの大きな原因の1つが騒音ですが、一方で家の中で音を出してはいけないというのはおかしいのではないか。そう考え、そこに抗ってみようと取り組んだことが始まりです」と説明する。

リブランにおける、楽器が演奏できる賃貸マンションの開発の歴史は古い。1980年代のバンドブームの時は音楽スタジオ付きの物件を開発したが、防音が不完全だったことから苦情が相次ぎ、最終的にスタジオは閉鎖された。その後、個々の部屋に遮音性能を付与して防音室とするという方向で試行を重ね、1999年に埼玉県川越市にミュージション川越を建設。入居者が自室で24時間、好きな時に楽器を演奏できるマンションが実現した。この物件では当初、入居者として近隣に複数ある音楽大学の学生を見越していた。しかし実際にニーズがあったのは社会人の方だった。

「音大の学生は大学で練習することを推奨されていて、そのための場所もあります。しかし社会人になると、仕事で多忙になるうえに楽器を練習できる環境がなくなり、音楽を諦めざるを得ない人も多い。そういう方にミュージションの需要があることが分かったんです」と渡邊氏は話す。

この知見をもとに、リブランでは音楽を続けたい社会人をターゲットにミュージションを増やしていった。現在、東京都と埼玉、神奈川、千葉県の1都3県で、建設中の物件も含めて全38棟を展開している。賃貸料が同等の一般マンションの相場より3~4割高いにもかかわらず、入居待ちリストは2024年7月現在で約6000組という人気物件となっている。

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