感性とロジックの融合 新たな思考の扉を開き、自ら問いをつくる
「VUCAの時代」と呼ばれ、曖昧性や複雑性が急速に増す現代社会では、既存のビジネスモデルや解決策が通用しないことも多々ある。その時代において重要なことは「ロジックを磨くだけでなく、感性を掛け合わせること」と、アート・アンド・ロジック株式会社 代表取締役の増村岳史氏は考えている。
混沌の時代に
感性とロジックの融合を
アート・アンド・ロジックは、東京藝術大学卒のアーティストやデザイナーの視点や思考をもとに国内外のさまざまな美術教育メソッドを研究し開発したオリジナルプログラムだ。受講者の感性を引き出しながら、感覚のみに頼らないロジックに基づいたワークに取り組むことで、左脳と右脳の両方を活用したハイブリッド型の思考スタイルを身につけ、創造的な課題解決力とイノベーションを起こすための思考力が身につくという。
このプログラムを考案したのは、アート・アンド・ロジック株式会社 代表取締役の増村岳史氏。「父は画家で、父方には漆芸の人間国宝の親戚もいる芸術家系という環境で育ちました。父は1970~80年代に大手企業の役員や幹部社員に絵画を教えに行っていたことがあります。かつての偉大な経営者は美術館を設立するなど、感性とロジックが融合することで新たな扉を開くことを知っていたのですね。私は父方とは真逆の会社員になりましたが、ダニエルピンクの『ハイコンセプト』(大前研一翻訳)という本でロジックとアート双方の思考の掛け合わせが重要である事に感銘と刺激を受け、ビジネスパーソン向けのプログラムをつくろうと思ったんです」と設立の背景を振り返る。
設立したのは2016年のこと。当時、既存の価値観が崩れ、混沌の時代のはじまりを感じていた増村氏は、感性とロジックを掛け合わせた思考で新しい時代を乗り越えることが必要になるという未来を見据えていた。
「観察」の重要性と
「認知バイアス」を外す
アート・アンド・ロジックは、全て東京藝術大学のOBOGのアーティストやデザイナーが講師を務め、さまざまな研修プログラムが用意されている。そのなかの1つに、講師の指導のもとデッサンを2日間描き、最後に自画像を描き上げるというものがある。講師はデッサンの指導はもとより、それ以上に絵を描く過程において「自ら問いを立てていくこと」を促していく。
「ピカソの言葉に『私は探さない。そこに見出すのだ』というものがあります。絵画の常識を打ち破りイノベーティブな表現を数多く打ち出してきた彼のこの言葉の意味は、観察に観察を重ねた結果として新たなパラダイムシフトがなされるという事を示しています」
観察力を上げるためのワークの1つには、人物の絵を逆さにして描くというメソッドがある。逆さにすることで人物の絵と認識せずに、線や空間の集合体と認識し描くことで対象を見る時間が長くなり、インプットの情報量が増え、結果として自分でも驚くほど正確に模写することができるようになるという。「このワークの狙いは認知バイアスを排除し事実をありのままに捉えるということにあります」と増村は語る。
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