ユーカリが丘ニュータウン 「街を買う」価値を創出し続ける
少子高齢化の中でも人口が増え続ける千葉県佐倉市の「ユーカリが丘ニュータウン」。その事業主体である山万株式会社は、開発当初から一貫して50年以上先の将来を見据え、あらゆる世代が共生する「持続可能な」街づくりを行ってきた。
久須見 裕文(山万株式会社 企画開発部 取締役部長)
長期視点でのチャレンジ
「成長管理型」不動産開発
山万株式会社は1951年に大阪で繊維卸売業として創業した。取引先の倒産で神奈川県の山を取得したことをきっかけに不動産開発に着手。その後、完全に不動産業に転じた。現在の中核事業は、千葉県佐倉市の「ユーカリが丘ニュータウン」の開発・販売および鉄道事業(山万ユーカリが丘線)、子育て支援、福祉施設運営など、街の開発と運営である。
1970年代、日本各地で進んだ郊外ニュータウン造成の多くは、取得した宅地の開発と分譲のみを行う「分譲撤退型」であったが、山万はユーカリが丘において「成長管理型」という独自の手法を選択した。背景には、前例となった湘南ハイランドでの経験がある。
「分譲当時、現会長の嶋田が、30代中心の購入者が50年後には皆80代になった時のことを想像して、いつまでも街の活力が失われないような開発をしようと考えたのです」と、同社取締役部長の久須見裕文氏は話す。
そこでユーカリが丘では、開発面積約250ヘクタール、総計画人口3万人の都市計画を、数十年という長いスパンで段階的に実行。新築住宅の分譲は年間200戸に抑えている。常に新しい人が入ってくる仕組みを作り、必要なタイミングで施設やサービスを加えていくことで、人口構成のバランスと街の活力を保つという目論見だ。実際に、1987年からの人口増加率は約290%となっている。
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