東京都と米ニューヨーク市が姉妹都市提携65周年を記念し交流強化へ

(※本記事は東京都が運営するオンラインマガジン「TOKYO UPDATES」に2025年6月18日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

東京を訪れたニューヨーク市長室国際担当副長官のアイサタ・カマラ氏(左)とディリップ・チョウハン氏(右)
東京を訪れたニューヨーク市長室国際担当副長官のアイサタ・カマラ氏(左)とディリップ・チョウハン氏(右)

2025年は東京とニューヨークが姉妹都市提携を結んで65年目となる。この機に、ニューヨーク市長室国際担当副長官兼首席補佐官のアイサタ・カマラ氏と同副長官のディリップ・チョウハン氏が、SusHi Tech Tokyo 2025の一環として開催されたGlobal City Network for Sustainability(G-NETS)実務責任者級会議に出席した。初めて東京を訪れたカマラ氏とチョウハン氏は、姉妹都市提携に対する考えと、どのように東京都と協力して共通のグローバルな課題に向き合っていくかについて語った。

──ニューヨークと東京の姉妹都市提携にはどのような特徴がありますか。

ニューヨークは、実は東京が姉妹都市提携を結んだ最初の都市であり、そのことには大きな意味があります。両者には多くの共通の機会がありますが、共通の課題もあるからです。提携以来、私たちは強力な持続的経済開発関係を発展させてきました。現在もこの関係を強化し続けており、直近では2024年に新しい基本合意書(MOU)を交わしました。私たちは共通の課題に直面していることも理解しており、とりわけインフラ開発と気候変動対策については、相互の知識共有を通じて共に戦っています。

今年、2都市の姉妹都市提携が65周年を迎えたのは喜ばしいことです。私たちの関係は、世界の2大都市による継続的な協力関係であり、顔を合わせる機会があるたびに素晴らしい成果が得られるため、将来はさらに協力関係を強化していきたいと思っています。

──姉妹都市としての東京の魅力はどのような点ですか。

東京は、都市のイノベーションとサステナビリティ、そしてスマートインフラのグローバルリーダーです。緻密な都市計画、活気ある文化、技術の進歩に取り組む姿勢などを見ても、ニューヨークにとってこの上ないパートナーです。また、東京の最も魅力的な要素は人だと考えています。都庁で仕事をするチームは、常に都民の暮らしを良くする方法を考えています。ニューヨークの公務員である私たちも、いつも同じことを考えています。

──インフラと経済協力に関するニューヨークと東京の基本合意書には、どのような重要性がありますか。

インフラに関しては、「一生に一度」の緊急事態が、もはや一生に一度ではないことを私たち全員が認識しています。ですから、その時が来たら全員が確実に目の前の課題に対応できるよう、話し合い、計画し、備えることが極めて重要です。基本合意書があることで、どのように都市を構築し、どのようなツールを使い、住民のニーズをどのように考えるかを共有しやすくなります。

経済協力に関しては、私たちは数カ月前にCEOラウンドテーブルを開催しました。そこには日本の大企業のCEOが大勢集まり、私たちの部局をはじめ、ニューヨーク市の各部局とさまざまな議論を行いました。ニューヨークにはどのような機会があるか、そしてニューヨークでビジネスを始めたり拡大したりするときに、どのような障壁があるかといったことも。基本合意書によってそのような問題を解決できますし、少なくとも解決に必要な手順を確認することができます。このような官民にわたる経済協力は、両都市の関係強化につながります。

G-NETS実務責任者級会議に参加するため東京を訪れたニューヨーク市長室国際担当副長官
G-NETS実務責任者級会議に参加するため東京を訪れたニューヨーク市長室国際担当副長官

──SusHi Tech Tokyo 2025について感想をお聞かせください。

まず、名前が最高です。昨日会場に着いたときは夢でも見ているようでした。あれほど多くの国や都市から大勢の人が集まってくるのは素晴らしいことです。昨日参加した短い時間だけで、すでに多くの人々とつながりました。SusHi Tech Tokyo 2025は間違いなく成功です。

──G-NETSのような国際ネットワークにニューヨークが参加することの重要性はどこにあるのでしょうか。

G-NETSが発足して招待されたとき、当然参加するべきだと考えました。姉妹都市提携を真剣に捉えていたからということもありますが、以前から東京とはベストプラクティスを共有していたからです。東京の代表団をニューヨークに迎え、頻繁にベストプラクティスを共有していましたから、この議論に参加したいと考えるのは当然のことでした。

普段はこちらの午前3時にオンラインビデオ通話でつながっていますが、カンファレンスに対面で参加できるのは素晴らしいことです。他の都市と今後について話し合うことができました。これがG-NETSの力です。一堂に会し、私たち全員が取り組むべき課題とチャンスの両方に目を向け、今後に備えて計画を立てることができる場です。

両都市の職員に囲まれて握手するカマラ氏と小池百合子都知事
両都市の職員に囲まれて握手するカマラ氏と小池百合子都知事

──ニューヨークは、気候変動やサステナビリティといった世界共通の問題にどのように取り組もうとしていますか。

ニューヨークは世界規模でイノベーションの発信地という評価を築いており、この分野で住民と世界の暮らしを良くするために絶えず努力しています。そしてG-NETSのようなネットワークに参加することは、さまざまな目的の実現に役立ちます。私たちは大都市として多くのものを提供できますが、学ぶべきこともたくさんあります。

第二に、都市は問題が本格的に具体化する場所だと理解しています。ニューヨーク市長のエリック・アダムスは、世界で起きていることはすべてニューヨークで起きると話しています。ニューヨークは世界最大級の外交コミュニティの拠点であり、193の国、115の領事館、70以上の貿易委員会が存在するため、多種多様な見解や声に触れることができます。つまり、平和に関する議論から危機的な気候変動に関する考察まで、あらゆることが話題に上る場所なのです。

──ニューヨークと東京は、どのようにお互いから学んでいるでしょうか。

2都市で常時コミュニケーションをとっています。私たちは共生関係にあるので、どうしたらお互いを支え続けられるかを知りたいと思っています。現在、東京チームは気候変動対策と、ここで行われている洪水管理に関する取組の一部について、優れたプレゼンテーションを行っています。両都市とも海に近い大都市なので、海面上昇や前述の問題について深く懸念しています。インフラに関する基本合意書が両者にとって歴史的だという理由はここにあります。現在だけでなく、いくつかの気候変動問題に直面するであろう30年後、40年後、50年後のためにインフラ構築の方法を学ぶ必要があるからです。

──未来に向けての共通の目標はどのようなものですか。

都市として活動し交流する中で未来に向けての目標は、全員が勝利する必要があると認識することです。一方の都市がもう一方より良くなればよいという話ではありません。今後さらに拡大するであろう気候変動の脅威やパンデミックなどの問題は、国境に関係なくやって来るからです。わかっているのは、それらが起きるということです。姉妹都市として常に協力し合ってきたため、当然そのようなこともお互い理解できると思っています。私たちは未来に向けて、協力関係を深め、個々の都市を良くするだけでなく、結果として世界を良くすることができる解決策を生み出す方法を追求したいと考えています。

アイサタ・カマラ氏(左) ディリップ・チョウハン氏(右)

取材・文/ローラ・ポラコ
写真/藤島亮
翻訳/伊豆原弓

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