「スモッグが消えた」米ザイオン国立公園 全シャトルバスを完全電動化

(※本記事は『reasons to be cheerful』に2025年7月4日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

青空の下にそびえる岩山とバス停に停車中のバス
(Credit:Morgan Sjogren)

交通渋滞を解消するシャトルバスが電動化され、ザイオン渓谷は静かで清らかになり、野生動物にとっても快適な環境となった。

ナバホ砂岩でできた、赤い寺院のような岩山に囲まれたザイオン国立公園、その谷をバージン川が蛇行して流れる。そのすぐ近くでは、シャトルバスを待つ人々が絶えず長い列をなしている。やがて静かにバスが到着し、扉が開くと90人が素早く乗り込む。バスが走り去っても、長い列は続く。5分後に次のバスがやって来て、同じフローが始まる。

このバスは、ザイオン国立公園の来園者体験を一変させた、新たな電動シャトルシステムの一部である。同公園は、2000年にシャトルシステムを導入して、年間240万人の観光客に対応したが、その後500万人まで増加。交通量を削減し、排ガス量と騒音を削減して、来園者と野生生物の双方に恩恵をもたらすべく、ザイオン国立公園は2024年に、30台のバスを完全電動車両に切り替えた。

公園内にかかる橋を渡るバス
同時に21台から27台ほどのバスが運行する(Credit:Morgan Sjogren)

シャトルバスは、革新的な公共交通を導入してきた国立公園局(NPS)のレガシーの一部だ。1910年に新設されたグレイシャー国立公園で、1回に11人乗れる馬車輸送が始まり、4年後には「レッドバス」へと進化した。現在でもグレイシャー国立公園では、1930年代半ばから運行されている、プロパンガスの赤いビンテージバス33台が現役で稼働しており、世界最古のツアー車両群とされている。NPSではこのほかにも混雑対策として、アーチーズ国立公園やヨセミテ国立公園で見られる、ピークシーズンの予約制や時間指定入場を導入している。ヨセミテ国立公園もシャトルバスを運行しているが、ザイオン国立公園とは異なり、利用は義務付けられていない。

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