日本風洞製作所 小型・低価格化で「風洞の民主化」を実現

風の流れを室内で再現し、実験を行う風洞試験装置は従来、建築物のように大型で、大企業などしか保有できないものだった。しかし、日本風洞製作所はその小型化・低価格化を実現。現在、自動車・自転車・ドローンの3分野を中心に、国内だけでなく海外市場にも積極的にアプローチする戦略を立てている。

ローン・ジョシュア(株式会社日本風洞製作所 代表取締役社長)

「風洞の民主化」を掲げ
九州大学在学中に起業

「風洞は風の流れを室内で再現し、その環境下で色々な実験をする装置です。例えば、新幹線の車両や自動車、飛行機を設計・開発する際、時速数百kmで走らせながらデータを計測することは困難です。ですから風洞試験装置では、代わりに実験対象物を固定し、整えられた風を当て、模型にかかる力などを測ります」と日本風洞製作所代表のローン・ジョシュア氏は語る。

従来型の風洞試験装置は、自転車用では20〜30m程度、自動車用では150〜200mに達するものもある。このような中、日本風洞製作所は全長わずか1.4mの装置を開発、製品化したことで、各業界から大きな注目をあびている。

「従来の風洞試験装置は1台当たり数億円~数百億円と高額で、広い置き場所も必要なので大手企業しか持てず、大学でも1大学で1台買えるかどうかという感じでした。大企業や大学が保有する数も少ないため、風洞を使った試験をするには数年待たなければならないことも普通でした」

また、オリンピックやサイクルロードレースの選手らは、最も空気抵抗を少なくしてパフォーマンスを発揮できるよう、風洞の中で自身のフォームや装備品などを調整するが、風洞のレンタル費は高額で、トップアスリートでもなかなか使えないのが現状だ。

「風洞に関してこのような課題がある中で、私は風洞を幅広い人たちが手軽に使えるものにしたいと考え、起業の際、『風洞の民主化』というビジョンを掲げました。そして、風洞試験装置の小型化、低価格化に取り組んできました」

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