カーボンニュートラル社会の実現を 俯瞰的視点から考える

2030年の未来は現在の延長にあり、2050年の未来は現在立てる構想に左右される。これからの30年は、物事の変化や進み方、情報の量や波及の範囲がこれまでとは全く異なるものとなる。そこで有効なのが、論理的なつながりから次の出来事の確度を予測する手法を生かした事業構想だ。

中村 達生(VALUENEX 代表取締役社長)

2030年はすでに未来ではなく、現在が色濃く影響する。社会インフラにかかわる一部の企業や組織など、長期ビジョンに基づいて事業戦略が策定されている分野においては、2030年を通過点とする計画がすでに実行に移されている。そして、そこに紐づく事業サービスは、必然的に誘導される。例えば、米国カリフォルニア州では2030年までにすべての新車をEV化することが決定され、産業再編や購買活動に影響が出始めている。

一方、2050年はいま起こした決意が、みえる形となって現れる元年となる。ただし、2021年までの過去30年とこれからの30年は、物事の変化、進み方、情報の量、波及の範囲がまるで異なるものとなるだろう。過去の延長で未来を予測するのではなく、ロジックでつないでシナリオを作成してゆく手法が適している。人類にとって普遍的な課題は、戦争回避と感染症対策である。裏を返せば、1918年のスペイン風邪によるパンデミック、1945年の第二次世界大戦終結後から新型コロナウイルスが発生した2020年までの75年あまりの期間が、技術革新、情報ネットワークの整備の恩恵もあり、単に平穏にすぎただけだったのかもしれない。これから起きることはその技術の高度化やグローバルな情報が伝播するプラットフォームが、被害を拡大する要因になる可能性がある。

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