近畿大学 VS 千葉工業大学 圧倒的なブランド力で志願者を惹きつける

2024年時点の一般入試志願者数ランキングは近畿大学が11年連続で1位、2位は4年連続の千葉工業大学。トップ2は揺るぎない。何が受験生を惹き付けるのか。両大学の魅力の一端を見る。

圧倒的なブランド力によって志願者を惹きつける二つの大学

2024年度の一般入試志願者数が最も多かったのは近畿大学の146,827人で、2014年度から11年連続の首位を保っている。2位は千葉工業大学の142,645人で、こちらは4年連続の2位である。多くの志願者を集め、惹きつけ続ける両校の魅力はどこにあるのだろうか。

近畿大学は、1925年設立の大阪専門学校と1943年設立の大阪理工科大学が、1949年に合併して誕生、今年創立100周年を迎える総合大学である。その建学の精神は「実学教育」と「人格の陶冶」であり、医学、薬学を含む理系、文学や芸術を含む文系の幅広い学部構成のもと、実学によって社会を支える人材を育成することを目指す。

同校を一躍全国に知らしめたのは、2013年、同校の「水産研究所」がその名を冠した養殖魚料理専門店をオープンしたことかもしれない。同研究所は、1948年に設立されて以来、ヒラメなど複数種の魚類の人工孵化・種苗生産に成功し、2022年には試行錯誤の果てに世界初のクロマグロ完全養殖に成功、その成果を活かして料理店事業に乗り出した。自然資源に依存しないマグロの安定供給や将来の食糧問題解決をも視野に入れた同研究所の取り組みは、まさに「実学教育」の精神を象徴するもので、目に見える確実な成果をあげる大学として若い世代を惹きつける大きな要因の一つとなった。

一方、千葉工業大学は、1942年、東京・町田市に設立された興亜工業大学を母体とし、その後千葉・習志野市に移転した。私立工業系では現存する最古の大学で、「世界文化に技術で貢献する」という建学精神のもと、単科大学としてテクノロジー社会を支える技術者を育成してきた。

現在、機械工学や先端材料工学などを学ぶ工学部をはじめ、建築や都市環境を学ぶ創造工学部、ロボティクスや知能メディアなどを学ぶ先進工学部といった、分野を細分化した5つの学部を持つ。志願者は自分の興味や関心に合わせて進路をイメージしやすい上に、災害対応ロボットの実用化や、学生が設計した小型人工衛星の運用といった成果がメディアでも取り上げられ、産官学連携をふまえた、社会貢献に直結する学びが得られる大学として知名度も定着していることが、志願者増につながっていると考えられる。2023年には、日本の大学としては初めてNFT学位証明書の発行を開始したが、これも、テクノロジーの進化に合わせて発展してきた同校らしい事例と言える。

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