総論 大特集 カーボンニュートラルの光と陰 未来予測から描く脱炭素の着眼点

2020年10月にカーボンニュートラル宣言が菅首相によってなされ、企業においても脱炭素に向けた戦略を、従来以上に真剣に検討するようになった。しかし、日本の脱炭素への取り組みはEUなどの先進諸国と比べ周回遅れの状況で、企業にも影響が及ぶ。何に着目し事業を構想していくことが必要だろうか。

図 世界の平均気温の推移

 

各国の目標を積み上げても
1.5℃、2℃目標の達成は不可能

世界の平均気温は、産業革命に比べて2020年には、1.2℃上昇した。この気温上昇は、最近の世界各地で起きている異常気象の一因と考えられている。2015年のパリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑え、それに加えて平均気温上昇「1.5℃未満」を目指す(第2条1項)。

しかし、仮に、現在、世界各国が表明しているCO2削減目標を全て足し合わせても、1.5℃目標はおろか2℃目標すら達成は困難な状況となっている。現実には、このペースで気温が上昇すれば、早ければ2030年にも1.5℃に達するとIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、2018年の報告書で警告した。今後、CO2の排出削減を進めていき、1.5℃目標を実現するためには2050年にはカーボンニュートラル(実質ゼロ排出)にする必要がある。

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