ネットワークカメラメーカー対決! i-PRO vs キヤノン

ネットワークカメラ、いわゆる監視カメラは、防災や防犯をはじめ、警備や施設管理、顧客データの収集とマーケティング、無人店舗の遠隔対応など、さまざまな分野に活用が拡大し、今や国内外を問わず社会・経済の重要なインフラとして存在感を増している。国内では、パナソニックから分社化したi-PRO、光学とカメラ技術で長い歴史を持つキヤノンが代表的なメーカーだ。

さまざまな分野でカメラ/AIによる監視ニーズを支える二大企業

i-PROは、2019年、パナソニックシステムネットワークスのセキュリティシステム事業部を母体とするパナソニックセンシングソリューションズとして発足、2022年にi-PROに社名変更している。1957年に松下電器産業において業務用監視カメラを開発して以降、松下ブランドで蓄積されてきたノウハウが同社のアセットであり、条件を問わず高画質な記録が可能なことはもちろん、たとえば記録された映像の中で目的上不要な箇所を圧縮して全体のデータ量を削減するといった高圧縮技術なども強みとする。

今日、監視カメラはAIによる機能の高度化が進んでいるが、i-PROの製品もAIを活用した自動追尾や動体検知、現場学習などの多機能化、複数カメラの映像データ集約・統合監視などの管理ソフトの充実化が著しい。また、小型であることから目立たない見守りが可能なi-PRO miniなど、ラインナップの拡充も進み、導入分野は拡大している。

一方、キヤノンは、1937年の設立以来、光学・カメラ分野の他、プリンターやコピー機、医療機器、産業機器などの各分野で高いシェアを誇ってきた名門である。ネットワークカメラ分野には、2015年に監視カメラで世界最大の企業であるスウェーデンのアクシスを子会社化して以降、本格参入している。 

現在、AIカメラを手がけるこのアクシスの他、多数のカメラと連携する映像管理システムを手がけるデンマークのマイルストーン、映像監視クラウドを手がける米国のアーキュリーズ、映像解析を手がけるイスラエルのブリーフカムなど、監視カメラに関するあらゆるノウハウをグループ内で完結させ、グローバルな体制でニーズに応えられる点が大きな強みとなっている。また、ネットワークカメラに挿入することでAIカメラ化できるmicroSDカード型のアクセラレーターを発売、大掛かりなサーバーを不要にするなどの新しい提案も続く。

AI、IoTなど最新テクノロジーを活かした解析技術の高度化、エッジからクラウドへの移行などを中心に、産業と暮らしを支えるインフラとしてのネットワークカメラの進化は、今後いっそう進む。その中で日本企業が果たしうる役割への期待は、ますます大きくなりそうだ。

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