ヤマモ味噌醤油醸造元 蔵元からレガシーベースの社会変革を
秋田県湯沢市に、江戸時代末期の創業から150年以上続く「ヤマモ味噌醤油醸造元」がある。老舗蔵元ながら、ギャラリーやカフェを併設するなど、国内のみならず、世界への文化の発信にも力を入れている。伝統と革新の融合を目指す7代目当主の高橋泰氏に、その想いと今後の事業構想を聞いた。
伝統産業の継承と、自分らしさの追求を両立
秋田県湯沢市岩崎で1867年に創業し、150年以上にわたり味噌・醤油を醸造する「ヤマモ味噌醤油醸造元」。穏やかな皆瀬川が流れる地は水上貿易の重要拠点で、城下町・宿場町として栄えた。味噌・醤油のニーズを見出した創業者・高橋茂助は、岩崎の美しい水と滋味豊かな米を用いた味噌作りに着手。それがヤマモの始まりだった。
現在のヤマモを率いるのは、7代目の高橋泰氏。元々建築家を目指し、「家業を継ぐ気はなかった」という泰氏は、大学で建築を専攻。だが卒業が迫るにつれ、「継がないことで家業が途絶えたら後悔するのでは」と自身の価値観を問い、郷里に戻る決意を固めた。
事業継承後は、「“Life is Voyage”世界の食文化と和の調味料が融合し、進化していくこと」を新たな企業理念に掲げ、2012年に初の海外輸出に成功。また、「土地や建物に宿るレガシーを見出し、新たなコンテンツとして発信する」ことを目指し、100年以上前に4代目が作庭した庭に融雪装置を整備し、本来の形を維持しながらも持続可能にしたり、蔵の一部を改装してアートギャラリーとカフェを新設したりした。2017年からは、蔵や醸造工程を見学できるインバウンド向けのファクトリーツアーも開始している。
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