創業220年の老舗薬局 時代を読み、選択と集中で長寿経営
江戸時代寛政年間に創業したサノ・ファーマシー。薬の販売のみならず、プロバスケットボールチーム「秋田ノーザンハピネッツ」の株主になるなど、地域活性化にも貢献している。「地域の健康生活支援ステーション」を目指す同社の長寿経営の秘訣について、佐野元彦社長に話を聞いた。
江戸時代創業の商家が副業的に薬種処を開始
秋田県のほか、岩手県、宮城県、さらには東京・神奈川に、グループで55薬局を展開しているサノ・ファーマシー。同社のルーツは、江戸時代初期に秋田で創業された「越後屋」にさかのぼる。新潟の商家から出た人物が、久保田城下で呉服・反物・小間物商を始め、寛政年間(1789~1801年)には薬種処(やくしゅどころ)を併設するようになったと伝えられている。
「おそらく、露天商として小金を貯めていくうちに、漢方薬の原料を扱う栽培農家や猟師との契約台帳を、他の薬種処から買い取ったのではないでしょうか。そして、仕入れた生薬を薬師(くすし)に卸すBtoBと、決まった処方の薬を自ら調合して店頭販売するBtoCの両方を兼ねていたようです」と、初代の佐野八五郎から数えて八代目となる同社社長・佐野元彦氏は歴史を振り返る。
やがて時代は明治になり、日本に西洋医療が入ってきた。化学的に合成された薬品を全国に流通させるべく、大手製薬企業は各地の有力な薬種処を販売代理店として使うように。八五郎の店もその1つとなったが、大量の在庫を置くスペースが必要となり、呉服関連の商売から手を引いていったようだ。一方で、製薬企業が農薬や工業薬品を手がけるようになったのに伴って、それらの販売も始め、農家や工場とのつながりが広がっていった。
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