津軽鉄道 地域住民と鉄道ファンと共に困難を乗り越える

青森県津軽半島を南北に走る津軽鉄道。通勤や通学手段として利用する沿線エリアの人々や鉄道ファンには「津鉄」の愛称で呼ばれ、冬期限定の「ストーブ列車」は鉄道ファンならずとも耳にしたことがある名物だ。経営課題は少なくないが、地域や熱心な津鉄ファンに支えられ、運行を続けている。

澤田 長二郎(津軽鉄道 代表取締役社長)

課題山積みのローカル私鉄
地域の支援が継続を可能に

津軽鉄道は津軽五所川原駅と津軽中里駅の間、全長20.7kmを結ぶ、日本最北の私鉄だ。沿線住民にとっては通学通勤に欠かせない交通機関であり、ストーブ列車などのイベント列車は鉄道ファンだけでなく、観光客にも季節の風物詩として愛されている。

2017年11月に累積乗客数一億人を達成

会社設立は1928年、その2年後には現在と同じ区間が開通した。一時はバス事業や貨物事業も展開したが、現在は旅客のみ営業する。

2004年、国が地方中小鉄道の近代化のための緊急保全整備事業を打ち出し、津軽鉄道は自己負担分を調達するために株式投資増資(又は株式募集)を実施。なんとか資金を確保して乗り切ったものの、「多くの中小私鉄と同様に、経営環境は依然として厳しい状況が続いています」と、津軽鉄道代表取締役社長の澤田長二郎氏は話す。

2011年に東日本大震災が発生。2020年以降はコロナ禍での行動制限に苦しんだ。その影響は収まりつつあるが、課題は山積している。特に大きいのはやはり、人口減少がもたらす収益の伸び悩みだ。

「そうしたなかで有難いのが地域の支え。津軽鉄道は、あって当たり前の『空気のような存在』ですが、我々の苦しい台所事情を知った20以上の団体や個人が立ち上がり、支えてくださっています」

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