地域全体を「屋根のない博物館」に見立てた、持続可能な観光地経営

三陸漁場の中心港として栄え、近代製鉄発祥の地として発展してきた釜石市。いわゆる観光地ではない同市が観光ビジョン策定にあたり目指したのが、「持続可能な観光地」だ。「オープン・フィールド・ミュージアム構想」を推進するかまいしDMCは、地域の人に誇りと稼ぐ力を生みだすことを目指している。

河東 英宜(株式会社かまいしDMC 代表取締役)

釜石市が取り組む
「オープン・フィールド・ミュージアム」とは

岩手県釜石市は2017年に観光振興ビジョン「釜石オープン・フィールド・ミュージアム構想」を策定した。2011年の東日本大震災で1000人強の市民が亡くなる大きな被害を受けた同市は、復興を目指す過程の中で、国が成長戦略の柱として観光立国を掲げたのに合わせ、新たに観光産業の振興を掲げ、ビジョンとしてまとめたのだ。

「釜石は観光地ではなかったことから、ゼロから新しいチャレンジができる強みを活かして、『持続可能な観光』に着目しました」と、「釜石オープン・フィールド・ミュージアム構想」を推進するために設立された地域DMO・かまいしDMC代表の河東氏は語る。

「持続可能な観光」は国連世界観光機関(UNWTO)により、「訪問客、産業、環境、受入れ地域のニーズに適合しながら、現在と未来の経済、社会、環境への影響に十分配慮した観光」と定義される。一方、「オープン・フィールド・ミュージアム」とはエリア全体を屋根のない博物館に見立て、釜石に生き、暮らす人に光を当て、それをプログラム化することで、固有の自然・歴史・文化を学ぶことができるシステムだという。

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