コロナ禍での激変を経て、「量」から「質」へ転換する観光産業

2020年以降、新型コロナウイルスの影響により、大きな打撃を受けている世界の観光産業。インバウンドが消滅し、国内旅行も遠出は厳しいという困難な中でも、企業は様々な新戦略を打ち出し、新たな旅のトレンドも次々に生まれてきている。観光産業の現在と、アフターコロナに向けた市場動向をまとめた。

新型コロナで一変した世界と日本の観光市場

2020年から始まった、新型コロナウイルス感染症の世界的流行。感染拡大防止のために各国が実施した渡航制限措置などによる影響で、世界の観光産業はかつてない大きな打撃を受けている。

UNWTO(国連世界観光機関)の2021年3月発表のデータによると、2020年の国際観光客数は3億9000万人で、前年の14億7000万人から約73%急減した(図1)。UNWTOは、2020年における国際旅行市場の損失は、2009年の世界金融危機の際の損失の約11倍の約1.3兆ドル(約139兆円)にのぼったとしている。

訪日外国人旅行者数は2013年から7年連続過去最高を更新し続けてきたが、2020年はコロナの水際対策の強化による影響で、昨年比87.1%減の412万人に減少した(図2-1)。国別・地域別の内訳では、中国、台湾、韓国、香港、タイなどのアジアからの訪日外国人旅行者が332万人で、約8割を占めている(図2-2)。また、訪日外国人旅行者による消費額も2017年以降は4兆円以上をキープしてきたが、2019年の4兆8135億円から、2020年は7446億円に減少した。

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