物価上昇と働き方の変化が市場に影響 コロナ後の観光産業予測

新型コロナウイルス感染症(以下、COVID)の直接的なインパクトも2年が経過し、COVID後も中長期的に影響を与える可能性のある変化が姿を現しつつある。本稿ではその中から物価上昇とリモートワークによる働き方の変化に注目して考えてみたい。

図1 国際旅行者数と受取額の伸び率

出所:国際旅行需要はUNWTO、経済成長率はIMF(World Economic Outlook, 2021年10月)をもとにJTB総合研究所が作成

 

物価上昇局面への転換で
訪日需要の戻りは鈍化の見込み

最初に取り上げたいのが物価上昇だ。サプライサイドの問題に端を発した物価の上昇はCOVID下における「一時的」な問題では済まないのではないかという懸念が広がりつつある。この問題はグローバルなツーリズムにも極めて大きな影響力を持つと予想される。これを過去40年間にわたるグローバルな国際旅行者数(各国を訪れるインバウンド旅行者の総計)と国際旅行受取額(トータルの消費額に相当)の伸び率の推移をまとめた図で説明しよう。

図1から2010年以前は受取額(消費額)の伸び率が旅行者数を常に上回ってきたことがわかる。これは旅行者一人当たりの消費単価(名目値)が一貫して上昇してきたことを意味している。図2は名目・実質それぞれでみた世界経済の成長率だが、2010年以前は名目値が実質値を上回っており、物価上昇が続いていたことを示している。同時期における旅行消費単価(名目値)の上昇も経済の成長に伴う物価の上昇を反映したものと言って良いだろう。

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