大阪中之島美術館 大阪本来の魅力を「見える化」する美術館に
大阪駅にほど近い中之島エリアに今年2月、「大阪中之島美術館」がオープンした。建設構想が持ち上がってから、約40年。市の財政悪化や方針転換など、様々な紆余曲折を経て、ついに開館にたどり着いた。館長の菅谷富夫氏に、大阪から文化・芸術を発信する同館の存在意義と役割について話を聞いた。
幾度もの方針転換を乗り越え、満を持して開館
堂島川と土佐堀川に囲まれた中之島エリアは、関西有数の文化・芸術発信エリアとして知られ、国立国際美術館や大阪市立東洋陶磁美術館、中之島香雪美術館といった名門美術館が集まる。同時に、市役所や中央公会堂のほか、名だたる企業の本社機能も集中し、経済の中心でもある。
この地に大阪中之島美術館がオープンするまでには、長い道のりがあった。大阪市制100周年記念事業基本構想の1つとして、1983年に近代美術館の建設構想が持ち上がり、1990年には建設準備室が設置された。だが、バブル崩壊や大阪市の財政悪化により、計画変更を余儀なくされる。2009年に改めて「近代美術館あり方検討委員会」を設置し、延床面積を縮小するなどして、その時点での財政で「身の丈にあった」基本計画を策定し直した。そして2022年、基本構想の発表以来、実に約40年の歳月を経て、ようやく開館に至ったという経緯がある。1992年から事業に参加してきた館長の菅谷富夫氏は、「長い準備期間の中で、何度も方針転換を迫られました」と振り返る。
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